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30歳からの成長戦略を学ぶ【2】

山本真司さんに学ぶ「30歳からの成長戦略」、第2回目です。いよいよメインテーマにせまります。これからの時代へ向けて、「個人の成長戦略」をどう描いていったらよいのか、その考え方や方法論をお伺いしました。

執筆者:塚田 祐子

■「30歳からの成長戦略を学ぶ」バックナンバー:
【第1回】若手に広がる「3つの病」


山本真司さんに学ぶ「30歳からの成長戦略」、第2回目です。今回は、いよいよメインテーマにせまります。これからの時代へ向けて、「個人の成長戦略」をどう描いていったらよいのか、その考え方や方法論を具体的にお伺いします。

<第2回/INDEX>
自分で、自分の成長戦略を構築しよう!
ビジネススキルより差別化の戦略を
“実力派天邪鬼”とは
経営者人材をめざそう

プロフィール

山本真司
山本 真司(やまもと・しんじ)
A.T. カーニー株式会社 ヴァイスプレジデント 戦略組織グループ・アジアリーダー
1958年東京生まれ。慶応義塾大学経済学部卒。シカゴ大学経営大学院でMBA取得(MBA with honors)。全米成績優秀者協会会員。東京銀行(旧)、ボストン・コンサルティング・グループを経て、1997年A.T. カーニー入社。15年に及び日本企業に対する変革支援のコンサルティングを実施。主要ビジネスメディアへの執筆多数。著書に「会社を変える戦略」(講談社現代新書)、「儲かる銀行をつくる」( 東洋経済新報社)、「40歳からの仕事術」(新潮新書)、「30歳からの成長戦略「本当の仕事術」を学ぼう」(PHP研究所)等がある。
ブログ: http://yamamoto-shinji.com/

自分で、自分の成長戦略を構築しよう!

前回、若手の皆さんが現在どのような課題認識を持っているのか、それを以下の「3つの病」でご説明しました。問題は、これらが三つ巴になって、悪循環をなしていることです。
負け組編入恐怖症
戦略不在症候群
目標モデル喪失症

しかし、「負け組編入恐怖症」は、考えようによっては悪いことではありません。言葉を変えれば、それは危機感であるからです。問題は、次のステップでとる行動です。

世間ではマスメディアを通して、“コレを、アレを学ばなければ、キミは勝ち組になれない!”と流行のビジネススキルを紹介してきます。こうしたアナウンスに惑わされて、次々に手を出していけば、結局のところ、それらを仕掛ける企業の大量消費者の一人に成り下がるだけです。しかも、いくら勉強しても一向に自分の成長した姿は見えてきません。

こうした悪循環から抜け出すには、自ら成長戦略を描くこと。これしか方策はありません。そして、新しい成長戦略を描くことが、今ほど個人に求められている時代はないのです。

では、どのように成長戦略を描いたらよいのか。
本題に入りましょう。

ビジネススキルより差別化の戦略を

前回、個人の成長戦略を考える時のヒントとして、企業の戦略についてお話をしました。企業の成長戦略を考える時のポイントが4つありました。これらは、言い換えると、成長戦略を成功させるための“4つの鍵”となります。

それでは、この枠組みを個人に当てはめて、個人の成長戦略のための“4つの成功の鍵”を考えていきます。

■1つ目の鍵: 進化する市場への対応
・ 一昔前の「知」のエリート(MBA、外資系コンサルタント、知的産業のエリートたち)が有しているビジネススキル(=贅沢品スキル)は、大衆化の過程に突入。
・ ネットの活用で、大衆化する「知」は、低コストで入手可能。
         ↓  ↓  ↓
大衆化して日用品となるビジネススキルを勉強しただけでは、個人の価値は上がらない。
「知」の大衆化時代に勝てる戦略をつくる。


日用品を製造販売する企業は、コストを安くして戦うしかありません。同様に、大衆化していくスキルを勉強するだけでは、個人の価値は上がりません。自分を差別化する要素が必要となります。

成長戦略の基本。それは、大衆化する「知」の学習は、超効率で学びぬけること。そして大事な資源である時間は、他者と差別化できる分野の研究に捧げることです。

大衆化するものに追随してもしょうがないと腹をくくって、必須知識の勉強はするけれど、超効率でこなします。そこで浮いた時間を、次にやってくる、ポスト「知の大衆化」時代に備えて、まだ手垢がついていない、イノベーションのネタがありそうな新しい分野、世の中に新たな付加価値を提供できるような分野に投資をするのです。

■2つ目の鍵: 差別化の視点を持つ
・必死に勉強しても、そこに差別化の要素が無い限り徒労に終わる。
         ↓  ↓  ↓
自分の成長投資する分野を選ぶ。
選び方は、(人気の無いもの)×(好きなこと)が原則。


なぜ(人気の無いもの)×(好きなこと)を選ぶのか、理屈はきわめて簡単です。
・今人気のある分野を選んでも無駄であること。
・差別化するのだから、自分が一番札を引ける分野が望ましいこと。

自分が天下を取れるような分野を作るには、選んだ分野に自己の資源を投入し続けることが必要です。そのためには、好きでないと続きません。「好きこそものの上手なれ」という格言通りです。

選択をしたなら、その分野で他人よりも多くの経験を積んで、累積経験量を増やし、同じ仕事を低コストで、すなわち高効率でこなせるようにすることです。また、同じ時間であれば、より良い内容の仕事ができるようにします。

もちろん、参入するタイミングも重要です。まだ人気が沸騰する前の分野を選び、そこで先行的に努力を始める。加えて、自分の好きな分野を選ぶのであるから、そこでは他を圧倒する強みを築くことができます。

従って、成功する。そんな、他人と違うことを考える“天邪鬼的な生き方”が必要なのです。

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