日本経済
この10年で、日本は、大きく変わりました。振り返ってみると、1997年に起こった大手金融機関の倒産をかわきりに、次々と大企業の経営実態が露呈。それに伴って、リストラの嵐が吹き荒れ、日本企業が美徳としてきた「終身雇用制」は、あえなく崩壊。代わりに、実力・成果主義が導入されつつあります。

実力主義がもたらすものは、個人の所得格差です。こうした格差は、今後ますます二極分化すると言われています。企業のみならず、個人にも「勝ち組、負け組」が適用されることに…。加えて、年金問題、大増税時代到来となると、先行き不安はつのるばかりです。

こうした現象の元をたどれば、そもそも経済活動の対象となる市場そのものや、社会環境(最近は自然環境までも)が、変化の時代へ突入し、急速に不安定化してきたためです。そして、今後は、変化すること、不安定な状態が前提となっていきます。

そうした状況にいかに対応、対処していけるか、その方法や知恵を得ることが、企業にも個人にも求められています。

とはいえ、では、具体的に、どうしたらよいのか。
そんな時代を生き抜くには、どんなスキルを身につけたらよいのか。
自分にとっての確かな指針を得るには、どうしたらよいのか。

手を伸ばせば、ビジネス書、セミナー、資格、スクール等々と、その答えとなるような情報は、溢れるほどあります。しかし、確かな手ごたえはどうもイマイチです。また、選択肢がある程、選びきれずに逆に焦りを感じたりもします。

そこへ、このテーマに取組む、一冊の本が出版されました。「30歳からの成長戦略「本当の仕事術」を学ぼう」です。実は、この本、ブログを通じて交わされた世代間の対話から生まれたそうです。そこで、著者の山本真司さんにお願いをして、これからの10年を見据えて、いかに自分戦略を立て、何を学び、どう行動していったらよいのかをお話いただきました。山本さんからのアドバイスと熱いメッセージを、3回の連載でお届けします。



プロフィール

山本真司
山本 真司(やまもと・しんじ)
A.T. カーニー株式会社 ヴァイスプレジデント 戦略組織グループ・アジアリーダー
1958年東京生まれ。慶応義塾大学経済学部卒。シカゴ大学経営大学院でMBA取得(MBA with honors)。全米成績優秀者協会会員。東京銀行(旧)、ボストン・コンサルティング・グループを経て、1997年A.T. カーニー入社。15年に及び日本企業に対する変革支援のコンサルティングを実施。主要ビジネスメディアへの執筆多数。著書に「会社を変える戦略」(講談社現代新書)、「儲かる銀行をつくる」( 東洋経済新報社)、「40歳からの仕事術」(新潮新書)、「30歳からの成長戦略「本当の仕事術」を学ぼう」(PHP研究所)等がある。
ブログ: http://yamamoto-shinji.com/


大切なことは、自分の頭で「戦略」を考えること

私は、30歳の時に、外資系コンサルティング会社へ転職しました。そこは、それまでいた日本企業とは全く異なる、容赦のない実力の世界でした。今から15年程前のことです。グローバルスタンダードは、まだ日本へ輸入されて無い時代です。

“Up or Out!”(成長しなければ、首だ!)と言われ、負けたら生きていけないというような切迫感を常に感じていました。

当初、勉強しなくてはいけないことも多く、ロジカル・シンキングやマーケティング、ファイナンスなどのビジネススキルを、必死になって学びました。保証のない将来に備えるために高額所得を追い求めて、疲労感を感じながらも、疾走する日々を送っていました。

その実力主義の世界が、今や日本企業のモデルとなり、グローバル・スタンダードなビジネススキルも、標準装備になりつつあります。最近の20代、30代の若手の皆さんが感じている危機意識は、かつての自分のそれとダブリ、昔の自分を見る想いがしています。

しかし、若い方々とお話しをすると、世間が呈示する情報に右往左往して、あれもこれもやらなくちゃいけないと皆が脅迫観念にとらわれているように感じてなりません。

何の保証もない、実力主義の世界で生き残ってきた私の経験から、一つ言えることは、

大事なことは手足を動かすことではありません。
その前に、自分の頭で「戦略」を考えることです。


戦略を考えるためには、自分を取り巻く市場環境、自分の現状の評価、今後の競争環境を見通しておかなければなりません。これから3回に渡って、自分の頭で戦略を考えるための、その方法論をお話していきたいと思います。

是非、立ち止まって、今のやり方を見直してみてください。そして、自分のための戦略をしっかりと練る時間をとっていただきたいと思います。