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生命保険を使った遺産分割対策(2ページ目)

「兄弟仲よくしましょう」、と幼い頃から教えられているにもかかわらず、いまだに兄弟間の相続争い(兄弟間に限らずですが)、すなわち「争族」の問題が多く発生しています。

今村 仁

執筆者:今村 仁

中小企業・個人事業主の節税対策ガイド

保険金受取人に注意

「うちは自宅が主な財産だから、自宅を長男に相続させ、長女には保険金を残すことにしたい。」というような場合を考えてみます。こうした目的で保険を契約する場合に、よく保険金受取人を長女と指定してしまっています。そうすると、争族になる場合があります。これは、税法と民法で、相続財産の範囲が異なることによります。

生命保険金は、税法では「みなし相続財産」として相続税の対象になりますが、民法上では相続財産ではありません。民法上の相続財産とは、亡くなった人が死亡時に所有していた財産を指します。従って、死亡したことによりその遺族に給付されるもの(死亡保険金や死亡退職金など)は、亡くなった人の財産ではないという扱いになります。

つまり死亡保険金は、民法上は相続財産ではないということです。よって長女は民法上、相続財産をもらっていないということになり、他の財産の権利を主張できることになってしまうのです。これが厄介な問題になります。

このような場合には、生命保険金の受取人は長女ではなく長男として、長男が保険金を受け取った後に、次男に支払うようにするのが、争族を避ける方法となります。上記の方法を、「代償分割」と言います。

相続放棄でも受け取り可

諸事情により相続放棄をとりたいという場合がありますが、こういった場合でも生命保険を受け取る権利は、その相続放棄した方に残ります。上記と同様、生命保険は民法上の相続財産ではないので可能となるのです。生命保険を受け取ったことにより、相続放棄ができなくなるといったことはありません。よく勘違いしている方が多いので覚えておいてください。

今までみてきたように生命保険は、遺族の生活保障や相続税の納税資金対策以外にも、遺産分割対策としても有効に機能します。


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