裁判所の判決結果
判決は以下のようになりました。
『管理組合の請求は却下され、専用使用権の対価は分譲業者に帰属する』
売買契約書、重要事項説明書および管理規約の記載に照らすと、本件駐車場の専用使用権は本件マンションの分譲に伴い分譲業者が特定の区分所有者へ分譲したものであり、
- 専用使用権を取得した特定の区分所有者は駐車場を専用使用し得ること
- 専用使用権を取得しなかった区分所有者は専用使用を承諾すべきことを認識していたこと
- 分譲業者が専用使用権分譲代金の名のもとに暴利を得たなど、専用使用権の分譲契約が公序良俗に反していないこと
を理由としています。また、分譲対価の返還・引渡しについて
売買契約書の記載によれば、分譲業者は営利目的につき自己の利益のために専用使用権を分譲しその対価を受領したものであって、専用使用権の分譲を受けた区分所有者も同様の認識をしていたと解されるため、その対価は売買契約書にある専用使用権分譲契約における合意の内容に従い、分譲業者に帰属するものとするべきである
としています(以上、最高裁 平成10年10月22日判決)。
本件のようにマンション分譲において、分譲業者が専用使用権を分譲して対価を取得する取引形態は好ましいものではありませんが、このことゆえに契約の私法上の効力までを否定することはできないようです。
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