都心を襲う地震 マンション生活の盲点が明らかに
エレベーターに閉じ込められたら! |
そうした中、今回、都心を襲う地震で明るみになった問題が、マンションなどのエレベーターでした。エレベーターかごがレールから外れたり、ロープが滑車から外れないよう、一定の震度の揺れを感知するとエレベーターは自動で運転を停止するよう設計されているため、乗車中に大きな揺れを感じると、中に人が閉じ込められてしまうのです。23日の地震では1都3県で78件が実際に被害に遭っており、救出されるまで数時間かかったケースもありました。
従来、地震といえば「家具の転倒」や「建物の耐震補強」といった点がクローズアップされてきましたが、高層建築物が多い都心部では、エレベーターが新たな懸念材料(=死角)となったのです。
9割は新機能が作動しない
さらに、新しい機種のエレベーターでは揺れを感知すると最寄階に止まって扉を開く機能(「地震時管制運転装置」といいます。)があるため、本来、こうした閉じ込め事故は起こらないはずなのですが、日本エレベーター協会の調査では、事故が起きた78件中73件(9割)のエレベーターには地震時管制運転装置が付いていたことが分かっており(読売新聞7月30日より引用)、「地震で一瞬、扉が開いたことを装置が敏感に“危険”と判断したことが原因」と記事は伝えています。要するに、新装置が機能しなかったわけです。
国土交通省では、新設されるエレベーターを対象として新装置の導入を義務付ける方針を固め、建築基準法の改正を視野に入れた矢先の“事実発覚”であり、「事実を重く受け止める」とコメントしていました(朝日新聞7月29日)。
自分が被害者にならないために
また、新機能が付いている場合も“正常に作動するか”エレベーターの定期点検時(ほとんどのマンションでは通常、毎月行なわれています)にメンテナンス業者に確認することをお忘れなく!なお、専門家の間では「最寄階で扉が開いても、その階が火災の場合はかえって危険なケースもある」ことが指摘されていますので、新機能には別の意味でのリスクがあることを認識しておくことも欠かせません。
そして、最も重要な「エレベーターに閉じ込められた場合」の心構えは以下の通りです。
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今後、地震はいつ起こっても不思議ではないことを自覚し、日頃から「心の準備」をしておくことが最大の防衛策となります。04年末に築30年を超えた分譲マンションは首都圏だけでも33万戸弱となる中、まずは自宅マンションのエレベーターを確認することからはじめましょう。
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