Xデーは近い? 首都直下地震


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都心に地震が押し寄せたら、日本全体が機能を停止するだろう。
1995年1月17日  マグニチュード7.2
2004年10月23日 マグニチュード6.8
2005年3月20日  マグニチュード7.0

上記日付は、いずれも被害の大きかった地震の発生日とその大きさ(マグニチュード)です。95年は死者6433名を出した「阪神・淡路大震災」、04年は現在も避難生活が続く「新潟中越地震」、そして数日前には福岡市の玄界島で「福岡県西方沖地震」が起こりました。福岡のケースでは、専門家の間でもノーマーク(地震が起こる可能性が極めて低い)のエリアであったようで、被害が少なくて済んだのは、まさに好条件が重なった奇跡であったといえるでしょう。

こうした一連の災害を目の当たりにすると、「次は自分の住むエリアが被災地になるのではないか?」と誰もが連想しますが、政府の中央防災会議がまとめた「首都直下を震源とするマグニチュード7級の地震被害想定」が思い出されてなりません。

報告では、最も人的被害が大きくなると、最悪で死者が1万3000人、建物の全壊や焼失はおよそ85万棟、帰宅困難者は1都3県で650万人に及ぶことになり、その数字には驚くばかりです。決して他人事としては片付けられない現実が待ち構えているのです。


震源の異なる18パターンの首都直下地震をシミュレーションし、その被害状況を想定しているが、そのなかで特に被害の大きい2種類を以下に紹介する。

【都心西部(東京都新宿区付近)を震源とする直下地震】
冬の午後6時に風速15メートルの状態で、M6.9の地震が発生した場合、中野区や杉並区などの老朽化した木造住宅が火災になり、さらに建物倒壊も起こり、全体で1万3000名もの死者が出る。

【東京湾北部(江東区沿岸)を震源とする直下地震】
条件は同じく、冬の午後6時に風速15メートルの状態で、M7.3の地震が発生すると、火災による焼失が約65万棟、揺れや液状化による倒壊が約15万棟となり、その他含めて全体で85万棟が全倒あるいは焼失する。


その時、どうする?


こうした突然の地震が起こった場合に、「どのように身の安全を確保するか」が問題となりますが、勤務先(オフィスビル)にいるかも知れないし、車や地下鉄などで移動中の場合も考えられます。阪神・淡路大震災の瞬間に「出張で飛行機の中にいた」という知人がおりまして、氏いわく、「羽田空港に着陸する予定が変更になり、関西空港へ引き返した」そうです。今となっては笑い話で済ませますが、地震に対する心構えが不可欠になっていることは間違いのない事実です。


 「賢いマンション暮らし」のための地震に対する心構え 7カ条

 1.家具の転倒を防止する
 2.火災を起こさないためにも、すぐに火元を遮断する
 3.慌てて外へ飛び出すと、かえって危険なこともある
 4.マンション上層階に住む人は特に、緊急時の避難経路を確認しておく
 5.非常持ち出し袋の準備
 6.家族同士で連絡(安否確認)の取り方を決めておく
 7.築年数の経過したマンションでは、建物の耐震補強


阪神・淡路大震災では、死者の8割近くが建物の倒壊や室内の家具が転倒したことによる圧死であったことからも、転倒防止のための工夫が必要です。特に寝ている間に家具が倒れてこないよう、寝室では家具の配置に気を付けましょう。また、食器棚や本箱は、中に入れてある食器類や本が落下することでケガした人も多かったそうです。床に落ちて割れた食器の破片が飛び散り、二次被害を招いたことも報告されています。家具や家電製品が「凶器」にならないよう、過去の教訓を生かしたいものです。

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「ぐらっと来たら火の始末」を徹底する
火災に関しては、鉄筋コンクリートで造られたマンションは木造住宅にくらべ、耐火構造で燃えにくいとされていますが、あくまで躯体(基本構造)についての説明に過ぎません。「キッチンの回りには燃えやすいものを置かない」「消火器を用意しておく」などの準備があると安心です。なお、コンロに火がついている瞬間に地震を感じた場合、揺れている状態でコンロに近づくことはかえって危険なので、完全に揺れがおさまってから行動するようにしましょう。


高層マンションでは死角となりやすい


現在もタワーマンション人気は衰えませんが、特に上層階に住む人は緊急時にどこへ逃げればいいのか必ず下調べしておくことが肝要です。

絶対にしてはいけないのが、エレベーターへ乗り込んで逃げようとする行為です。なかに閉じ込められては元も子もありません。また、タワーマンションには「非常用エレベーター」の設置が義務付けられていますが、本来、同設備は消火活動のため消防士などが利用するためのもので、居住者が逃げるために用意されているわけではありません。常日頃から避難訓練を実施して、誰もが緊急時の避難ルートを把握しておくことです。積極的に参加しましょう。

さらに、災害用伝言ダイヤル171が注目されるようになったのも、地震による効果といえます。国民の3人に2人が携帯電話を持つ時代となり、いつでもどこでも携帯電話さえあれば連絡が取れると信じていましたが、通話が一時的に集中するとつながりにくくなることが明らかになりました。消防や救急など緊急用の回線を一般の人に優先して利用させるため、通信会社が利用回線を操作することが原因とされていますが、その結果、公衆電話に長蛇の列ができたのは皮肉な現象です。

【関連コラム】171災害用伝言ダイヤル

災害用伝言ダイヤルを上手に活用して、家族間の連絡を取ることも一法ですが、「災害が発生したときは自宅そばの○○公園に集合する」といったように、いざという時の待ち合わせ場所を事前に決めておくといいでしょう。

最後に管理組合として、築年数の経過したマンションでは「耐震診断」、さらに診断結果によっては「耐震補強」を検討する時期にさしかかっています。1階部分が駐車場になっているようなピロティ構造のマンションは倒壊の危険度が高いことは指摘されていますので、早急な対応が求められます。

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「天災は忘れた頃にやってくる」

自戒の念を込めて、今一度、襟(えり)をただす時期に来ていることは間違いありません。

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