みんなで監視し、世論で動かすしかない
入国管理局に「フィリピン人介護士の受け入れが始まった際には実態調査を行うか」と尋ねたところ、「フィリピン人介護士受け入れについては詳細がまだ決まっていないため、はっきりとしたことは言えないが、必要に応じて実態調査は行っていくことになると思う」とのこと。そこでさらに、「研修・実習制度では、悪質な受け入れ企業があることへの批判が高まっているが、これを踏まえてフィリピン人介護士受け入れ先に対してはもっと厳しく目を光らせることを考えているか」と尋ねてみました。すると「世間からの批判が高まれば、やはり当然、厳しい対応を考えていかなくてはならないだろう」という回答でした。世論が騒がなければ動かないのか、と思いましたが、それなら、問題になれば動く、ということを上手に利用していくしかありません。
厚生労働省は、現時点では、フィリピン人介護士受け入れ先企業を公表する考えはないと言っています。これに対して、国会で野党議員が「国会議員が施設を視察したいと考えたときには、開示してほしい」と訴え、「そのように対応する」という答えを引き出していました。これを国会議員に限らず、求めた人には開示していく、というところまで持って行けないものでしょうか。
受け入れ先が公表されていれば、私も取材に行くことができます。私だけでなく、多くのマスコミが取材に行き、さまざまな見学者も訪れることでしょう。多くの目が監視していれば、不正をしにくくなるのではないでしょうか。
最後に。
先日、NHKで「ワーキングプア」の特集をしていました。
働いても貧困から抜け出せない人たちのことです。
その中に、丁寧な仕上げで高い評価を受け、誇りを持って働いていたという洋服の仕上げ加工業者が紹介されていました。ここ数年、コストダウンの波に飲み込まれ、仕事の単価を切り下げられて年収が半分以下に減ったとい言います。この仕上げ業者から仕事を奪ったのは、海外からの安い労働者でした。
私はこの番組を見ていて、多数のフィリピン人介護士が日本で働くようになったとき、「日本人と同等以上の労働条件」が守られなかったら、いずれ同じことが起こるのではないかと思いました。
受け入れた日本の介護職も、やってきたフィリピン人介護職も、どちらも不幸になるのではほんとうにたまりません。
いたずらに不安をあおるつもりはありません。しかし、この問題については真剣に考えていかなくてはならないと思っています。
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