2006年9月、フィリピンとのEPA協定への署名により、フィリピン人介護士の受け入れが決まりました(詳しくはガイド記事「07年度からフィリピン人介護士受け入れか?」を読んでください)。この件について、2006年11月1、8日の衆議院外務委員会において、野党議員が麻生外務大臣と厚生労働省の担当官に突っ込んだ質問をしていました。それを聞いて、私自身、かなり認識が甘かったことに気づかされました。このEPA協定署名は介護業界にとって非常に大きな転換点になるかもしれません。フィリピン人介護士に関する協定のどこが問題かをまとめてみます。

◆INDEX◆
■フィリピン人の養成校ルートは今後も試験なし?
■受け入れ人数は政府が勝手に決める?
■どうやって就労状況をチェックする?

フィリピン人の養成校ルートは今後も試験なし?

国会
フィリピン人介護士受け入れを、政府は安易に考えすぎている。そんな気がしてならない
フィリピン人介護士の受け入れは、第1回目は人数が600人。日本で継続的に働くには介護福祉士資格取得が条件となっています。その資格取得のためのコースは2つ用意されています。一つは日本国内の介護施設で実務経験を積んで4年以内に介護福祉士試験を受験し、資格取得する「実務経験コース」。もう一つは、介護福祉士養成施設に入学して通常どおりの年限で修了して資格を取得する「養成施設コース」。どちらも規定の年数で資格取得できなかったら、帰国することになります。

試験で介護福祉士資格を取得するのは難しいということで、養成施設コースを目指して来日するフィリピン人が多いのではないかと言われています。介護福祉士養成施設は、今でこそ修了すれば試験なしで介護福祉士資格が取得できますが、今後は修了後に試験を課す方向で検討が進んでいます。そこで野党議員が質問したのは、フィリピン人に対しても、当然、試験を課していくのですね、ということでした。

これに対する、11月1日の厚生労働省の答えは、「署名された協定の内容は、現状の介護福祉士養成制度に沿ったもの。この制度が変更になれば、当然見直される。厚生労働省としては、日本人の養成制度と同じルートであるべきと考えているが、厚生労働省の一存では決められない。関係省庁とよく協議して決めたい」というもの。フィリピン人養成が日本人とはちがう制度になる可能性を残した答弁でした。

これが8日の外務委員会における石田厚生労働副大臣の答弁では、「まだ法改正も決まっていないのに、現時点で仮定の事柄を前提にした発言は差し控えたい」と前回の厚生労働省の答弁よりさらに後退してしまいました。

私は日本人の養成制度とフィリピン人の養成制度がちがうというダブルスタンダードなど思いもよらなかったので、当然、フィリピン人にも試験を課すものと思っていました。ですから、「かなり厳しい条件だなぁ」と来日するフィリピン人介護士にやや同情気味だったくらいです。しかし、フィリピン人には試験を課さない、などということになったら、いきなりハードルが低くなります。入国したフィリピン人のレベルがどうであっても、養成校さえ卒業すれば半永久的に日本で働く資格が得られてしまうのです。

>>次は■受け入れ人数は政府が勝手に決める?

>>「介護・福祉業界で働く」サイトトップページへ