平成19(2007)年度から、フィリピン人介護士600人を受け入れることが正式に決まりました。年度初めからの受け入れは難しいようですが、できるだけ早い受け入れを目指し、今、厚生労働省では受け入れ体制について詳細を詰めているところです。

受け入れ体制がどうなるのかを考えたとき、頭をよぎるのが、このところ、本来の目的を逸脱した外国人受け入れが多発しているとマスコミで取り上げられている「外国人研修制度」と「外国人技能実習制度」(以下、併せて研修・実習制度と略)です。現段階で公表されているフィリピン人介護士受け入れの条件と比較すると類似点が多く、介護士受け入れも研修・実習制度と同じ道をたどるのではないかという懸念を抱いてしまいます。今回は、この研修・実習制度の問題点から、フィリピン人介護士受け入れについて考えます。

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外国人研修制度、外国人技術実習制度とは?
人権に関わるひどい扱いを受けた研修生
来日後は事実上ノーチェックか
フィリピン人介護士受け入れで同じ問題は起きないか?
みんなで監視し、世論で動かすしかない

外国人研修制度、外国人技術実習制度とは?

「外国人研修制度」とは、以前から行われてきた企業単位での外国人研修生の受け入れを、1990年に政府として「技術移転により開発途上国における人材育成に貢献することを目指して、より幅広い分野における研修生受入れを可能とする」(国際研修協力機構のホームページより)ためにスタートさせた制度。

滞在期間は1年以内。在留資格は「研修」で労働者ではなく、技能を身につけて帰国することが目的であるため、同一作業を単純反復するような研修は認められません。また、土日や時間外の研修は行えず、生活実費として研修手当を支払う、とされています。研修の内訳は、日本語研修や習得する技術についての座学による研修が1/3、実務研修を2/3程度とすることも定められています。

そして、この研修制度を利用して技術を身につけた外国人労働者が滞在期間を延長し、在留資格を「特定活動」に切り替えて雇用契約を結び、就労するのが「外国人技能実習制度」です。研修制度が通常12ヵ月、技能実習制度が通常24ヵ月、併せて滞在期間は最長3年間。技能実習期間が終了すると実習生は帰国し、身につけた技術を母国に持ち帰り、技術移転という形で生かす、というプログラムです。

ところが、この2つの制度、みなさんにも想像が付くと思いますが、「研修」「技術実習」とは言い難い受け入れケースが明らかになってきています。どこに問題があって、どのような問題が起きてきているのか。次のページの「人権に関わるひどい扱いを受けた研修生」に続きます。

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