近畿直下地震は、首都直下地震の6.5倍の死者数
政府の中央防災会議が今年11月にまとめた「中部圏・近畿圏の内陸地震に係る被害想定結果」によると、近畿圏(大阪周辺)で最大約4万2000人、中部圏(名古屋周辺)で同1万1000人の死者が出ることが予想されています。東京湾北部地震(首都直下地震)の想定死者数が6,413人でしたので、その数6.5倍もの被害が想定されている計算です。
近畿および中部直下地震の被害想定(最悪のケース) | 近畿直下地震 | 中部直下地震 |
活 断 層 | 上町(うえまち)断層帯 | 猿投(さなげ)-高浜断層帯 |
人的被害:死者数(冬の朝5時 風速5m)約42,000人 | 約11,000人 | 建物被害:全壊+焼失棟数(冬の昼12時 風速15m)約97万棟 | 約30万棟 | (出所)政府の中央防災会議 「中部圏・近畿圏の内陸地震に係る被害想定結果」資料より
なぜ、これ程までに被害が拡大してしまうのかというと、「上町断層帯の地震」では人口や建物の集中した大阪市を含む大阪府中心部で震度6強以上の揺れが想定されており、また、「猿投―高浜断層帯の地震」でも同様に、名古屋市を含む愛知県西部で震度6強以上の揺れが予想されていることによります。つまり、大都会のほぼ真下に断層があることが関係しているのです。
また、大阪や名古屋などの中心部には、沖積層が厚く堆積した地域が広域に分布しているそうです。そのため、地震動が増幅されやすい環境にあり、被害を拡大してしまうというのです。さらに、大阪や名古屋などの都心部を囲むように老朽木造密集市街地が分布しており、これらの地域で強い揺れが発生すると、建物の倒壊被害や火災の発生も懸念されることになります。そして、こうした諸条件が重なることで、想定被害はさらに大きくなっていくのです。
大地震は、今日・明日に起こるものではないでしょう。しかし、1週間後に起こらないとは誰も断言できないはずです。それだけ、「不確実性」が高いのです。だからこそ、危機意識と同時に正確な情報(被害予想)を持つことで、自衛への第一歩につなげてもらいたいと思うのです。……自分の身の安全を守れるのは自分だけ。このことを忘れてはなりません。
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