マンション市場にも「業界再編」の動きが散見され始めている。
販売不振や企業金融の目詰まり(融資姿勢の硬化)などにより、経営破綻の連鎖を起こした分譲マンション市場。景気の持ち直しによって「ドミノ倒し」と揶揄(やゆ)された惨状からは脱却しつつあるように思えたのですが、またしても今年10月、「サニーコート」シリーズで知られるマンション分譲のアートハウジングが、東京地裁へ民事再生法の適用(負債総額は約58億円)を申請。また、「ローヤルシティ」「ローヤルコーポ」シリーズで知られる藤沢建設が東京地裁から特別清算開始決定を受ける(負債総額は約38億円)など、再び、分譲マンション市場からは不協和音が聞こえ始めています。

すでに始まっている人口減少、また、国策として掲げられたストック重視社会の実現など、新築住宅の市場規模は、今後、ますます縮小を余儀なくされる不安材料ばかりが目立ちます。そのせいか、業界の勢力図にも変化が表れ始めており、子会社化や資本増強などの動きが散見されるようになりました。生き残りをかけた「業界再編」の動きが見て取れます。

【主なマンション分譲業者の再編の動き】 (2009年11月18日現在)
  • 「オーベル」シリーズで知られる有楽土地は株式交換により、2010年4月1日付でゼネコン最大手 大成建設の完全子会社となる(予定)。これにより、東証一部上場の有楽土地は2010年3月29日付けで上場廃止となる予定。
  • 三菱地所が子会社の藤和不動産を株式交換により完全子会社化する。これにより、東証一部上場の藤和不動産は2009年4月23日付けで上場廃止となる。
  • ジョイント・コーポレーショはオリックスに総額約100億円の第三者割当増資を引き受けてもらい、資金繰り支援を受ける。これにより、オリックスはジョイントの筆頭株主となった。

    しかし、力及ばず、その後の2009年5月29日、ジョイントは東京地裁へ会社更生法の適用を申請、翌6月30日に上場廃止となる。そして、09年11月に事業再生会社のレノとスポンサー契約を締結し、再建へ向けて動き出す。

そうした中、法的手続きによらず自力で再起を図ろうとしているのがコスモスイニシアです。ご存じ、2006年9月にリクルートコスモスから改名し、国内大手投資ファンドのユニゾン・キャピタル傘下のもと、年間2000戸程度の新規分譲をしている中堅デベロッパーです。今年4月、債務超過に陥る見通しから、私的整理による事業再生に踏み切ることを公表しました。それから7カ月、一体、コスモスイニシアの“その後”はどうなっているのか?―― 気になる各種情報を整理してみました。

「倒産企業」のレッテルを張られないのがADRの魅力


今回、コスモスイニシアが経営再建の手法として選んだのが「事業再生ADR」という手続きです。事業再生ADRとは「裁判以外の紛争解決手続き」の略称で、訴訟手続きによらずに民事上の紛争の解決を図ろうとする当事者のために、公正な第三者が関与して金融債務者・債権者の調整を行うなど、過剰債務に苦しむ企業を救済するための仕組みです。

今年6月、マンション分譲事業などを手がける日本エスコン(ジャスダック上場)が事業再生ADRにより経営再建を目指すことを明らかにしました(10月29日にADR手続き終了)。また、事実上、公的管理下にある日本航空(JAL)も適用を申請する見通しです。

民事再生法や会社更生法などの法的手続きは、「倒産」「経営破綻」といったマイナスイメージを企業に植え付けやすく、かえって社会的信用の失墜などにより再建を遅らせてしまう危険がありました。その点、事業再生ADRは第三者機関が介在することで債権者同士の不公平感が生じにくく、加えて上場廃止基準にも該当しないため、「倒産企業」のレッテルを張られることなくスムーズに経営再建を進めることが可能となります。

コスモスイニシアの株価の推移
(出所)QUICK