都心を襲う地震 マンション生活の盲点が明らかに


エレベーターに閉じ込められたら!
7月下旬にかけて、首都圏で地震が連続しました。7月23日の午後4時35分頃には千葉県北西部を震源とし、東京都足立区で震度5強、同大田区や江戸川区、さらに横浜市や川崎市で震度5弱を記録。さらに、その5日後の28日には午後7時15分頃に茨城県南部を震源とする地震があり、茨城、栃木、群馬、埼玉4県のそれぞれ一部地域で震度4を記録しています。幸いにも死者は1人も出ませんでしたが、鉄道や航空、さらに高速道路といった交通インフラは一瞬にマヒしてしまい、さらに、携帯電話もほとんどつながらないといった、夏休み最初の週末が「驚き」で幕を開けることとなりました。

そうした中、今回、都心を襲う地震で明るみになった問題が、マンションなどのエレベーターでした。エレベーターかごがレールから外れたり、ロープが滑車から外れないよう、一定の震度の揺れを感知するとエレベーターは自動で運転を停止するよう設計されているため、乗車中に大きな揺れを感じると、中に人が閉じ込められてしまうのです。23日の地震では1都3県で78件が実際に被害に遭っており、救出されるまで数時間かかったケースもありました。

従来、地震といえば「家具の転倒」や「建物の耐震補強」といった点がクローズアップされてきましたが、高層建築物が多い都心部では、エレベーターが新たな懸念材料(=死角)となったのです。

9割は新機能が作動しない


さらに、新しい機種のエレベーターでは揺れを感知すると最寄階に止まって扉を開く機能(「地震時管制運転装置」といいます。)があるため、本来、こうした閉じ込め事故は起こらないはずなのですが、日本エレベーター協会の調査では、事故が起きた78件中73件(9割)のエレベーターには地震時管制運転装置が付いていたことが分かっており(読売新聞7月30日より引用)、「地震で一瞬、扉が開いたことを装置が敏感に“危険”と判断したことが原因」と記事は伝えています。要するに、新装置が機能しなかったわけです。

国土交通省では、新設されるエレベーターを対象として新装置の導入を義務付ける方針を固め、建築基準法の改正を視野に入れた矢先の“事実発覚”であり、「事実を重く受け止める」とコメントしていました(朝日新聞7月29日)。

自分が被害者にならないために


 
そこで、すでにマンションにお住まいの方は自宅のエレベーターに地震時管制運転装置が付いているかどうか、付いていない場合、特に世帯数が多かったり、高層のマンションでは必要性がより高まるため、技術的に新機能を追加する(地震計や制御盤の交換など)ことが可能かどうか、これを機に管理組合で検討すべきでしょう。「エレベーター自体の交換」という方法もありますが、一般的に1000万円単位のコストがかかるため、現実的ではないでしょう。

また、新機能が付いている場合も“正常に作動するか”エレベーターの定期点検時(ほとんどのマンションでは通常、毎月行なわれています)にメンテナンス業者に確認することをお忘れなく!なお、専門家の間では「最寄階で扉が開いても、その階が火災の場合はかえって危険なケースもある」ことが指摘されていますので、新機能には別の意味でのリスクがあることを認識しておくことも欠かせません。

そして、最も重要な「エレベーターに閉じ込められた場合」の心構えは以下の通りです。

  • 慌てず、冷静に対応する
  • 無理に脱出しようとせず、インターホンや携帯電話で外部と連絡をとる
  • 停電しても非常用のバッテリーが作動するので、真っ暗になることはない
  • 窒息する心配もない

今後、地震はいつ起こっても不思議ではないことを自覚し、日頃から「心の準備」をしておくことが最大の防衛策となります。04年末に築30年を超えた分譲マンションは首都圏だけでも33万戸弱となる中、まずは自宅マンションのエレベーターを確認することからはじめましょう。

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