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マンション分譲の「総和地所」が自己破産の開始決定を受ける

新年を迎えて、もうすぐ1カ月。まだまだ寒い日が続きますが、そうしたなか、早くも今年2013年の流行語大賞として年末に選ばれそうな最有力候補が登場してきました。その単語は「アベノミクス」です。政治・経済ニュースでは耳にしない日がないほど、今日では頻繁に目にするようになりました。

アベノミクスとは、政権奪還を果たした自民党・安倍内閣による経済・財政運営を意味する造語です。強い経済を取り戻すべく、(1)大胆な金融政策、(2)機動的な財政政策、(3)民間投資を喚起する成長戦略 ―― を主軸とした日本経済再生に向けた経済対策を含意した言葉です。

このアベノミクスにより、為替レート(米ドル/円)は90円台へと円高が是正(円安進行)され、日経平均株価は8600円台だった野田首相(当時)の解散表明時から、年明け1月25日には1万900円台を回復しました。長引くデフレ不況からの脱却期待が相場を押し上げているのです。安倍首相には、2006年9月の“初”の総理大臣就任時にアベノミクスを実行してほしかったと思うほどです。

しかし、金融市場が上昇基調を強めているのは景気回復への「期待」であって、経済再生が実現したわけではありません。依然、ユーロ危機の影響など、海外経済を巡る不確実性は高く、国内の雇用・所得環境の先行きにも注意が必要です。

ここで、ここ数年の住宅市場を概観すると、リーマンショックを契機に首都圏の新築マンション供給数は年間3万6000戸台(2009年)にまで落ち込みました。バブル崩壊後、ピークだった9万5635戸(2000年)の3分の1近い水準です。それ以後、東日本大震災による停滞を克服し、2012年には4万5000戸台を回復するも、依然、供給水準はピーク時の約2分の1にとどまっています。このように市場規模が縮小される中にあって、かつてのような「新築マンションは建てれば売れる」といった活況は、もはや期待しにくいのが現状です。

こうした状況下、今後を案ずるかのように1つの分譲マンション業者が破産しました。「ロータリーパレス」シリーズで知られる総和地所が1月7日、東京地裁より破産手続きの開始決定を受けました。4年以上前のリーマンショック(2008年9月)の“後遺症”が、今年2013年になって再発したのです。換言すれば、4年以上にわたって続けてきた“延命治療”が限界に達したといえます。リーマンショックの根深さを見せつけられた格好です。

そこで、なぜ、総和地所は破産に追い込まれたのか?―― 今後のマンション市場を占う意味でも、その真相を探ることにします。

ジャスダック上場を果たすも、2度の監理銘柄指定で上場廃止 末路は自己破産 

総和地所に異変が感じられるようになったのは2009年頃からでした。2007年2月にはジャスダック市場への上場を果たし、順風満帆に見えたのもつかの間、2009年2月期の有価証券報告書を期限までに提出できなくなり、09年5月に「監理銘柄(確認中)」に指定されました。監理銘柄とは、上場廃止基準に該当するおそれがある銘柄(株式)のことです。

上場企業には、各事業年度終了後3カ月以内に有価証券報告書を提出する義務が課されています。にもかかわらず、総和地所は「継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象または状況」が発生したため、利益計画および資金計画の見直しを余儀なくされてしまい、6月1日の提出期限に間に合わなくなりました。

同社は、その理由を「第三者割当による新株発行ができなくなるなど、計画通りに資金調達できなくなったのが主因」と説明しています。帝国データバンクによると、2008年2月期には約16億円の当期損失を計上するなどの過小資本に陥っており、翌09年2月期には約31億円の債務超過に転落していたそうです。こうした事実を裏付けるように、総和地所は2010年3月に再び「監理銘柄(確認中)」に指定され、ついに同年7月1日に上場廃止されました。

そして、その後は「元ジャスダック上場」と形容されながら、竣工済み物件の買取り再販などを続けましたが、業績の改善は見込めず、2013年1月に自己破産の開始決定となりました。