「利益」および「不利益」を洗い出そう


 
1ページ目で触れた埼玉県のマンションでは、駐車場の運営について駐車場使用細則には「初回の区画は売主が抽選により決める。その後の管理運営は管理組合で決める」とだけあり、具体的な内容は記されていませんでした。そこで、今回、3階駐車場の利用者が駐車区画の入れ替え、および、駐車場使用細則の見直しを管理組合に要望したのですが、意見がまとまらず時間だけが過ぎてしまいました。

3階駐車場の利用者によると、屋根がないため夏は車内が暑くなり、逆に、冬は霜や降雪時の雪かきがとても面倒とのことです。また、駐車場の床面が凍結すると車の出し入れができなくなることもあり、通勤で使用している人はかなりの不便を強いられているそうです。加えて、雨の日の乗り降りや荷物が多い時の大変さ、また、風雨にさらされているため車の劣化も進みやすい等々、3階利用者は料金の差以上の不公平感を感じています。「駐車場は共用部分なのだから、不公平があっては困る」と主張するのも、痛いほどよく分かります。

手続き上、管理規約を変更するには4分の3以上の集会決議による賛成(特別決議)、また、使用細則を変更するには過半数の集会決議による賛成(普通決議)が必要となります。その上、繰り返しますが、一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承認を得なければなりません。

そこで、衡平(公平)を保つには駐車場使用細則の内容を「変更した場合」と「変更しない場合(現状のままの場合)」、それぞれにつき1~3階の各駐車場使用者がどのような「利益」および「不利益」を受けるのか、洗い出すことが必要となります。特別の影響があるのか否かを探るためです。

区分所有者の権利に新たな「差異」を設けるものだ!


関西のある住宅公社では駐車場の契約更新をめぐり、次のような訴訟が起こされました(神戸地方裁判所 平成3年6月28日判決)。当初のルールでは「利用期間は1年で、利用者は毎年、総会で抽選して決める」となっていたのを、「利用期間は1年とする。ただし、利用を引き続き希望する者に対しては利用期間の更新を認める」と普通決議で改正したことに対する裁判です。

ここで争点になったのが、「半永久性の導入は特別決議が必要かどうか?」ということ。この点について裁判長は、「現利用者に優先権を認め、他のものは申し込み順に利用を認めるのは区分所有者間の権利に新たな差異を設けるものだ」と断言。「共用部分である敷地内駐車場をどのような条件で専用使用できるかは、誰にとっても重要な関心事であり、その意味でも特別決議が必要」と判決理由を述べています。それだけ、駐車場の利用システムをめぐる取り決めには慎重さが欠かせないことを示唆したのです。


ひと口に「公平」といっても、その捕らえ方は人それぞれです。単純化できず、総合判定でないと答えが出ないところに悩ましさがあります。埼玉県のマンションの場合も、気持ちは十分伝わってきます。ただ、1階利用者からの賛同も得られるような説得材料がないと、進展は難しい気がしてなりません。両者の溝が埋まらないようであれば、コンサルタントなどの第三者を交えるのも一法でしょう。対立が長引いても何の利点もありません。お互い、妥協点を見つける努力が欠かせないといえそうです。

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