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帰国決意のきっかけは同時多発テロ 9.11を境に激変した留学生活(2ページ目)

「テロ以後、留学生の出身国での差別が顕著に。」「タンソ菌パニックに関する郵便局からの手紙」「画材は機内持ち込み禁止」他、テロ以後の学生生活に関する記録。

西島 美保

執筆者:西島 美保

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タンソ菌パニック!



何人もの犠牲者を出した郵便物に付着しているというタンソ菌は本当に恐ろしかったです。誰もが郵便物に怯えました。
この時期の郵便物は、なんだかザラザラと粉っぽい気がしました。郵便局から届いた注意書きには、「郵便物を触った後は、必ず石鹸で手を洗って下さい」と指示がありました。


留学生にとって、国からの郵便物は本当にうれしいものですが、この時期、日本の家族や友人は気を使って、荷物を送るのをしばらく差し控えてくれました。
また、エアメールを日本の友人に出すと、「恐くて開けられない」と言われたこともありました(悲)。

今まで当たり前だった生活が、様々な場面で制約され、不安に怯えることが多くなりました。


精神不安~スクールカウンセラーが全米に配置~


このテロにより、精神不安に陥った人も非常に多く、アメリカでは全ての教育機関にカウンセラーが配置されました。テロ以後、カウンセラーによる心のケアが精力的に続けられています。

9月11日当日、NYの実家にいた友人は、ワールドトレードセンターの混乱にまきこまれ、さらに軍隊にいる弟がイラクに駆り出され精神的ショックを受け、まったく別人のようになってしまいました。一人でいることを怖れ、泣きながら私の部屋に来ることもしばしば。寝る時だけ自分の部屋に帰っていく、という生活がしばらく続きましたが、幸い、良いカウンセラーに出会い、だいぶ落ち着いてきました。

友人達の間では、家族や恋人達が戦争に駆り出されるかもしれない、と言う恐怖がまん延し始めました。アメリカの男たちは、不安を隠し、むしろ愛国心にあふれ、勇敢に立ち向かっていくことを求められていました。


ついに帰国を決意


テロ直後、大学院修了を間近に控えた私は、「修了出来ないかも」と不安になり、
今までのんびりしていたのですが、即座に修士論文執筆生活に切り替えを迫られました。

自分では自覚がなかったのですが、予想さえしなかった出来事に相当のストレスとショックを受けていたようです。スクールカウンセラーと向き合った瞬間、涙がとめどなく流れ出て、私自身ビックリしました。

大学院修了後、アメリカで仕事を探すか、帰国するかで迷いましたが、2ヶ月のカウンセリングを経て、最終的には帰国することを決めました。もちろんテロが私の決断に及ぼした影響は大変大きなものでした。そして、あの時決断して本当に良かったと思います。
帰国して平和な日本で暮らせることを心から感謝します。(平和とは言えなくなってきているかもしれませんが)

本当に本当に不安で恐かった。
「好きなことを自由に出来ない」というストレスは大変つらいものです。

もしあのテロがなかったら、私の人生は全く違ったものになっていたかもしれません。


「国旗バカ売れ」「祝日が恐い」「テロ当日のテレビ放送」「食料品買占め」>>【9.11以後、狂った日常生活】もどうぞ!



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