マーケティング/マーケティング事例

ボジョレヌーボー解禁!マーケティング視点で探る意義(2ページ目)

今年もボジョレヌーボーの解禁の季節がやってきました。でも、なぜ解禁日があるか不思議に思ったことはありませんか?その解禁日の秘密を解き明かすと、意外なマーケティングの事実が浮かび上がりました・・・

安部 徹也

執筆者:安部 徹也

マーケティング戦略を学ぶガイド

ボジョレヌーボー解禁日の秘密とは?

ボジョレヌーボー
解禁日は“ボジョレヌーボー”のブランドを守るため!
このボジョレヌーボーはなぜ解禁日があるのでしょうか?

お伝えしたように1967年まではボジョレヌーボーには解禁日がありませんでした。

もともとこのヌーボーはボジョレの中でも非常に人気のあるワインであり、市場に出せば売れるものですから、各メーカーが我先にと出荷するようになりました。そして、この競争がエスカレートしてまだワインとして出荷できないものまで市場に出回るようになり、消費者の信頼を損なう事態に陥ってしまったのです。そこで“ボジョレヌーボー”というブランドを守るためにフランス政府によって解禁日が定められたというわけです。

ブランドのメリット・デメリット

解禁日を設けることによって商品的な品質が保たれ、“ボジョレヌーボー”というブランドが傷つくことを防げました。ブランドというのはその商品やサービス、引いては企業に対するイメージですから、確立すればそれだけで非常に高い付加価値を生む、というメリットがあります。

ところが、一方で十分にワインとして成り立たないものまで出荷するなどブランドを利用して企業が顧客をないがしろにすると、それまでの良好なイメージが一転して悪いイメージとなり、それまで築いてきた顧客との信頼が一瞬のうちに崩れ去ります。

そして、ブランドというお墨付きで普通よりも高い価格で喜んで購入してくれていたお客は消え去り、価格をいくら安くしてもその商品やサービスが売れないという事態に陥るのです。お客というのはただ単に商品やサービスを購入しているのではなく、その商品やサービス、そしてその背後にいる企業のことを信頼して始めて財布の紐を開くということを忘れてはいけないというわけです。

日本でもかつてボジョレヌーボーが直面したようなブランドの品質管理問題が勃発しました。

そう、2007年の比内地鶏の偽装問題です。比内地鶏と言えば薩摩地鶏や名古屋コーチンと並んで日本三大地鶏として、普通の鶏肉に比べて高い価格にもかかわらず多くの消費者から支持を受けていましたが、この偽装問題で深刻なダメージを受けました。1社の問題ではありますが、比内地鶏全体のブランドに大きく影響を与えてしまったのです。

ボジョレヌーボーの成功事例を見ると、1企業ではなく地域でブランドを共有する場合は、行政や独自の管理団体が厳しくブランドの品質を管理し、ブランドを取り扱う企業全てが消費者の期待や信頼を裏切らないような活動を行うことがブランドのメリットを長く享受する秘訣と言えるでしょう。

それでは最後のページではこのボジョレヌーボーの解禁日が与えた意外なマーケティング効果について検証していきましょう。

解禁日を設けることによってボジョレヌーボーが爆発的に売れた秘密とは?
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