新製品が売れるかどうかの境目とは?
マニア層だけでなく、多くの一般大衆(アーリーマジョリティ)に向けて働きかけて初めて爆発的なヒットが生まれる! |
ところが、いくらイノベーターやオピニオンリーダーなど早期に新製品を購入する層に働きかけてよい評判を得たとしても市場を大きくすることができず、結局は撤退せざるを得ない場合もあるので注意が必要です。
たとえば、昔ビデオデッキの規格としてベータとVHSがありました。ベータは機能的に優れていてイノベータやオピニオンリーダーなどのマニア層には非常に好評でしたが、アーリーマジョリティを魅了する戦略が欠けていました。一方でVHSはハード面ではベータに劣っていたものの、ソフトという魅力あるコンテンツを武器にアーリーマジョリティに働きかけ、遂にはベータを市場から駆逐することに成功したのです。
新製品をヒットさせるにはキャズム(大きな溝)を超える必要がある!
この事例からもわかるようにイノベーターやオピニオンリーダーとアーリーマジョリティの間には簡単には越えられない大きな壁(キャズム)が存在します。この大きな壁を超えるためにイノベーターやオピニオンリーダーといった早期購入者だけでなく、合わせてアーリーマジョリティへの製品の普及活動も重要だというのがイノベーター理論を補ったキャズム理論と呼ばれるものです。もともとヒットする製品というのは生活を便利にしたり、シンプルにしたりするものです。Windows Vistaは、確かにグラフィック面やセキュリティ面では格段の進歩が見られるようですが、生活を便利にしたり、シンプルにするという観点から考えると大半のユーザーにとっては魅力的な進歩と言い難いところがあります。逆に大容量のメモリや高いスペックのコンピューターが必要になるなど、どちらかというとイノベーターやオピニオンリーダーなどマニア層のみに訴えかける機能向上に終始しています。爆発的に売るためにはアーリーマジョリティ層にも魅力ある機能向上が必要なのですが、アンケートからもわかるように大衆層を魅了する機能向上がなかったために今回のスロースタートという結果に終わったのです。
まだ、他にもあるVistaが売れない理由と独占商品ゆえに陥った落とし穴とは?次ページへお進み下さい!