しかし、さっそく渡米した安藤百福社長の前には大きな問題があった。日本ではあたりまえに使われているドンブリや箸が西洋にはないのだ。この問題を克服するには、新しい発想による商品開発が必要であった。
=カップアイデアのヒント=
しかし、この解決のヒントは意外な所にあった。安藤社長が海外視察国アメリカでみた”ある行為”が、カップのアイデアを与えてくれたのである。それは、あるバイヤーが、チキンラーメンを紙コップに入れてお湯を注ぎ、箸の変わりにフォークで食べていたというものであった。
次はフタの問題である。それはアメリカからの帰りの機内食に出された、アカデミアナッツの紙容器にヒントがあった。紙容器が、アルミ箔でコーティングされたフタで密閉されていたのである。これは当時の日本には無かった技術であった。
=麺と具の開発=
麺の揚げ方や、具の開発も専任の担当が日夜試食をしながら開発を続けた。300ccのお湯を入れて3分で戻る麺と具の開発である。フリーズドライの製法もここから開発が始まった。
その他にも画期的な工夫が加えられている。麺がこなれない様にカップ内に麺を宙吊りにする方法だ。これにより底に空間が出来、湯戻りもよくなったのである。これは麺が内側から容器を補強する作用も得られ、運搬中の容器の破損を防ぐ効果が得られている。