「信頼感」と「親近感」のバランス
私は常々、「営業マンは信頼感と親近感を両立させることが大切」だと話しています。お客さんから「この営業マンは信頼できるな」と思ってもらわなくてはいけないと同時に、「この営業マンは親しみやすいな」と思ってもらえなくてはいけません。親近感のみを出そうとすると、ペコペコ頭を下げるだけの営業になるし、信頼感のみを出そうとすると、偉ぶった感じの営業になります。Aさんはこの点も上手でした。例えば私が判断に迷ったり、煮え切らない態度をとったときには、「それに関してましては、率直に申しまして、こちらのプランの方が適していると思います」と、しっかりと方向を示してくれました。
逆に私が「こっちの方を選択したい」と明確に自分の考えを述べたときには、黙ってそれに同意してくれました。自分の威厳を保ちつつ、相手にも敬意を払う。これができる人だったんですね。
また、契約が決まったあとの一言も印象的でした。
「西野さまの英語力と向学心は素晴らしいので、私はこれから西野さまのことを師匠と呼ばせていただきます。けれどももし何かありましたら、私がしっかりとサポートいたしますので、何でもご相談ください」
愛嬌で相手を持ち上げながら、しっかりと自分の威厳は保っておく。まさしくAさんはプロ中のプロ。みなさんもAさんのように「バランス」をキーワードに、商談に臨んでみてください。
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