売れる営業と売れない営業の違いとは?
お客に差はないのに受注額は違う
この質問力の違いで、大きな差がついてしまっている例をお話ししましょう。
以前私が在籍していた会社で、営業のサポート部門に所属していたときのことです。あるマネージャーが相談に来ました。内容は、「3人の部下、A君、B君、C君のうち、誰が担当するかによって、受注額が大きく変わってしまう。どうにかできないか」というものでした。
話によると、仮に1件の問合せがあった場合、A君が訪問すれば、500万の受注になるが、B君なら150万、C君に到っては115万円の受注にしかならない。「なんとか皆をA君のレベルにしたい」、とのこと。
それで、そのマネージャーに状況を詳しく聞いてみたところ、簡単にいうと質問のスキルが違っていたのです。
一体どういうことでしょうか。わかりやすくするために、A君とC君を比較してみましょう。
すでに認識済みの問題を解決するだけでは足りない
【C君が担当した場合】お客様から「こういう商品が欲しい」という要望に答えて、該当商品をご案内している。「じゃ、その商品はいくらなの?」と聞かれ、そのまま「15万円です」と答えて、販売してしまう。
【A君が担当した場合】
相手からの要望、質問にはもちろんきちんと答える。さらに、もっと戦略的に質問していく。つまり、「顕在ニーズがあるなら、潜在ニーズがあるはず」という仮定の元、質問を重ねていく。
具体的には、「なぜそういうところに興味をもたれたのですか?」、「ほかに同様の問題は起きていないでしょうか。」、「その原因から発生している問題は今のお話で全てでしょうか」、「例えば他の部門には影響はありませんか」というように、お客様の状況を詳しく聞いて、お客様が抱える問題を深堀りしていく。
受注額の違いは、営業マンの姿勢の違い
2人の違いをまとめると、「××というよくない状況を解決したいので、この商品が欲しい」、という「単純なニーズ」にこたえるがC君の営業。それに対しA君の営業は、「××が起きているのはなぜか、原因があるのではないか、その原因から××という状況以外にもよくないことが起きていないか」と、お客様の状況を広く深く探ることによって、問題の根っこまで深く捉えて、「コンサルティング」して解決しています。
A君のように、深い問題であることをつきとめ、根本を見ると、大抵複雑にからみあった状態になっています。ですから解決しようとすると、単品、小額の商品では対応できません。結果的に商品セットでの提案となり、提案額、しいては受注額が高くなるのです。
ここで見落としてはいけないのは、2人の成績の違いは、お客様の違いではなく、お客様の課題を大きく捉え、解決していこうとする営業マンの姿勢、そしてスキルの違いである点です。 特に、お客様からお問合せがあった場合は、相手が解決策を求めています。全くニーズがないときに商品を売ろうとする場合より、情報提供に協力的なはず。そこで、頑張って頑張ってぐいっと質問していきましょう。 ここで、私が「頑張って頑張って」と表現するのには、理由があります。相手の問題の根本原因に迫り、状況を整理し、解決策を得るための質問を重ねてことは、営業にとっても、お客様にとっても大変な作業だからです。脳に汗をかく、難しい作業です。しかし、そこに取り組んでこそ、大きな受注があります。
仮に問題の全てを自社商品で解決できなかった場合でも、問題の原因を洗い出し、整理したあなたはお客様から感謝と信頼を得られるはず。質問力を鍛えることで、頼られる営業マンを目指しましょう。
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