今週号の日経ビジネスAssocieで、面白い特集が組まれています。 『論理力を超えるプレゼン、説得スキル「物語力」とは?』というもの。
「上手な物語法は、論理的なプレゼンテーションよりも聞き手を感動させ、行動に移らせることができる」というのが全体の趣旨。
そう語るのは、脚本家養成者のロバート・マッキー氏です。私は不勉強で知らなかったのですが、映画・テレビ関係者の間ではカリスマみたいですね。
非常に興味深い特集で、一気に読みました。そこでこの『物語力』について、私なりの考えをお伝えします。
物語力とは?
もう少し、物語力について説明が必要ですか?特集の中では、物語力のキーワードとして、『願望』『行動と障害』『変化』などが挙げられています。
『あるキャラクター(主役)が、願望をかなえるために行動をとるが、そこには障害が発生している。
そしてそのキャラクターは次の行動をとり、そこには新たな障害が発生する。その繰り返しの中で、願望に近づき変化していく』
このプロセス全体を物語と表現しています。こういった物語形式にメッセージを組み立てることで、感情面から聞き手に訴えることを『物語力』といっているようです。
物語力は営業に使えるか?
さて、ではこの物語力は本当に営業の現場・プレゼンの現場で使えるのでしょうか?実は私はよく使っています。
説得の技術というのは大きく2つに分類できて、『ロジックに訴える』のと『感情面に訴える』に分かれます。そして、このどちらに対してより聞き手が反応するのかというと──人によるのですよね。
だから、ロジックにだけ訴えていたのでは、『感情面の訴えに響く人』には伝わらない。両面が必要なんですよね。逆に、感情面だけに訴えるのも片手落ちということも言えますが。
物語力を営業で使うには
じゃあ、具体的にどのように営業で物語力を使うか?誌面のなかでも、実践編として、レストランプロデュース・フードテーマパークの例などがでていますが、さすがにそれをそのまま営業でやるのはキビしいです。
というのは、あまりに物語色がつよすぎて、うまく営業プロセスのなかに組み込みにくいのです。
例えば、演劇を見に行ったときに、役者さんはオーバーアクションの演技をしますよね。声を張ったり。それを舞台で見るときは、観衆にとって違和感はないのです。それを見に来てるわけだから。でも、同じ演技を日常の生活のなかでする人がいたら、ちょとヒいてしまいますよね。
営業プロセスのなかで物語をつかうというのは、それに近い感じがあるのです。いかに自然な流れで物語に持ち込んでいき、ナチュラルに話すかというところがミソです。
具体的には、『事例トーク』に使うのが一番わかりやすいのではないでしょうか。
「実は当社でもあったことなのですが…」とか「他のお客さんの話なのですが…」
なんて言葉から入って、その情景をありありと描いて聞かせてやる。その際にキーになってくるのが、上段であげた『願望』『行動と障害』『変化』です。これらを事例のなかにうまく盛り込んで、話が多少ドラマティックに聴けるようにしてあげましょう。