有権者のハートを射止めた |
今日ご紹介するのは、少し時間が経ってしまいましたが、「総選挙」。例の自民党が圧勝した9/11の国民大注目のイベントです。
この「総選挙」を『プレゼンテーション・スキル』の視点で斬ってみたいと思います。
結果はご存知のように、自民党、というか実質的には、小泉首相の圧倒的勝利でした。
そして、注目すべきなのが、「小泉 vs 岡田」の構図に近かった、ということ。
言い換えれば、小泉首相のプレゼンが、民主党・岡田代表のそれを大きく上回った、ということだと思います。
実際、岡田代表が敗因コメントで「自分の考えていることが国民に伝わらなかった」というのを一番に挙げているわけですから。
では、岡田代表と比べて、小泉首相のプレゼンテーションのどこがどう優れていたのか?
そこには、ビジネスシーンでそのまま使える「効果的なプレゼンテクニック」が駆使されていました。
その要因・理由を以下に3つのポイントでご紹介しましょう。
論点を絞る
小泉首相は、今回の選挙の争点、論点を「郵政民営化」の1点に絞りました。これは、「1イシュー戦略」「オンリーワン戦術」と言われているものです。
メディアのデータによると、今回の彼の演説の実に90%もが、この「郵政民営化」に費やされていたそうです。
さらに、国民に対して「郵政民営化に賛成ですか? 反対ですか?」「改革を進めるべき? 止めるべき?」という風に、『二者択一』を迫ったのも秀逸だったですね。
それにより、「メッセージ性」がより一段と際立ちました。
一方、岡田代表は「年金と子育て」「マニフェスト」を2本柱にして、戦いました。
ただ、この2つ、いずれも領域が広すぎました。言い換えると、論点が多すぎて、絞りきれていなかった。したがって、当然メッセージ性も弱くなった、というワケ。
結局、論点を絞って勝負に出た小泉首相が、インパクトと分かりやすさで圧倒した、ということなんですね。
一文一文を短く
今回に限ったことではないですが、「小泉語録」というのがたくさんあります。
例を挙げてみると、
・ 「おれの信念だ。殺されてもいい」
・ 「もう一度国民に聞いてみたい」
・ 「改革を止めるな」
言われてみると、今でも何となく記憶に残っていますよね。
なぜ覚えているのでしょうか?
それは、「一文一文」が短いから、なんです。
長い文というのは、一見中身があり、論理的で、かつ洗練されたような感じを与えることができるかもしれません。
が、聞き手の印象・記憶に残りにくいのです。
やはり「短い文」の方が、インパクトという点では完全に優っています。
確かに、プレゼンテーションにおいて「短いセンテンスにまとめる」というのは簡単ではありませんが、「優れたプレゼンテーション」の必須条件。
小泉首相のプレゼンから大いに学びたいものです。