提案書ばかり書いている……売れない営業マンの2つの問題点
提案書不要の営業スタイルって?
私が新人の頃のこと。「トップ営業マンって、どんなすごい提案書を書いているんだろう?」と気になって、彼らに接触してみたことがあります。
すると意外にも、売れている人ほど提案書はシンプル。……拍子抜けしました。特に、伝説の営業マンと呼ばれた人にいたっては、提案書をほとんど書いていませんでした。それどころか、「営業は、提案書なんて必要ないんだ。俺は手ぶらで○千万円決めたで~」と『手ぶら営業』を豪語していたのです。
提案書を書かないで売る!それも高額。もちろん、提案書なしで売っていても、内容は、「提案営業」なのです。一体どういうことなのでしょうか。私は、提案書を書かなくても売れてる営業マンと、提案書ばかり書いている売れてない営業マンを比べてみました。すると、売れない営業マンには2つの問題点があったのです。
1.ヒアリングスキルが低い
売れてない営業マンは、お客様へ訪問しても、有効な質問ができません。情報収集もそこそこに、「では、今の話を元にさっそく提案書にまとめてきます」と帰ってしまう。お客様に踏み込んだ質問をするのが怖いと感じてしまっているのかも知れません。
ですから、浅くて少ない情報しか手に入らない。つまりお客様の現状に対する認識が浅く、課題の絞込みもできぬままに提案書を作ることになります。
正しく、具体的な現状認識ができてなければ、提案の説得力も低い。そのため、解説や参考資料を多く必要とします。結果的にページ数を増やさないといけないため提案書作成に時間がかかってしまいます。
2.キーマンをミーティングに登場させることができない
先方担当者に商品を気に入ってもらえて見込み数字に数えていたのに、お客様の社内稟議で却下されたのです。
見込み数字の消滅も売れてない営業によくあります。これらの原因が全てここにあるわけではありませんが、先方のキーマンを押さえていなかったのです。この商談において、影響力を持つのは誰か、決定権を持つのは誰かを、全くイメージしていない場合すらあります。
これに反し、トップ営業マンは、お客様とのミーティングの場で、以下の3つのことができています。
トップ営業マンができていることその1
ハイレベルなヒアリングスキルによる情報収集
良質の質問を数多く行うことで、お客様の抱える課題の本質を探り当てることができます。「なぜそう感じるのか」「たとえばどんな問題が起きているのか」など、お客様の現状、心情を明確にする質問を重ねていくことができます。
トップ営業マンができていることその2
お客様の疑問の整理、解決
ヒアリングして得られた情報を、できるだけその場で整理します。また自分が売りたい商品に対してたくさん質問していただき、その場で答えてしまうのです。その結果、ミーティングを終える頃には、疑問や不安が解消されたお客様から、「それじゃ、それでお願いします」と、大枠の了承を得られてしまっているのです。
相手は既に納得しているから、商品のイメージができている。よって、後で提出するのは、簡単な概要と見積書だけ。帰社後に、机に向かって、うんうん唸る必要もありません。
トップ営業マンができていることその3
キーマンを交えた有意義な議論
お客様から受注を得る。社内稟議を通過するためには、キーマンを押さえることが肝心。社内で影響力のある人が誰で、どう考えているかを知った上で、自社の商品がそれにどう応えられるかを正しく伝えなければなりません。
トップ営業マンは、できるだけミーティングの場に、先方のキーマンを同席いただいています。窓口担当者からの仲介を経て、キーマンの意向を伺ったり、自社商品の魅力を伝えるよりも、直接会ったほうが手っ取り早く、確実だからです。
提案書を書かないことのメリット
なんといっても、時間と労力を奪われないで済みます。あなただけでなく、お客様も同じ。分厚い提案書を後で、チェックさせられるより、面会終了時に購買決定の目処がついてしまっている方が楽に決まってます。
ヒアリングスキルを磨き、キーマンを交えたミーティングに臨みましょう。訪問時のエネルギーは倍かかりますが、その後の仕事がグッと楽になります。
ただ、誤解しないでください。「提案書は書かないで済ませるほうがよい」と言っているわけではありません。本来のセールスプロセスである顧客との密度の濃い、有意義なミーティングを行えていれば、省略できる提案書があるということです。
必要なセールスプロセスを踏まずに提案書にパワーをかけるより、ミーティグを充実させることに重きを置くべき場合もあるということ。
もし、充分なミーティングを行った上で、提案書作成が必要とあれば、しっかり手間をかけて作成してくださいね。
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