「準備の罠」に気をつけよう!

ストーリー、フレームワーク、そして余白。読者の想像力を刺激し、考えさせる本
プレゼンテーションの見本のような立派なスピーチを行ったB社の役員。しかし、ある一つのことが欠けていました。

聞き手である参加者の表情を見ていなかったのです。当然ながら、彼らの感情を感じてもいませんでした。あまりにも入念な準備をしていたため、話しながらも自らの見事なスピーチに意識が向かい、自分の言葉に酔いしれ、「準備の罠」に陥ってしまったのです。

これと同じようなことが、あなたの会社でも起こっていませんか? プレゼンテーションソフトやプロジェクターも進化し、見栄えよく伝えられるようになった一方で、その瞬間・その場を生で感じ、そこから創り上げていくことがおろそかになっているのです。

一方、社員の共感を得ることができた役員には共通する特徴がありました。それは、「参加者に対して問いを投げかけていた」ことです。

「一緒にやってくれませんか?」
「皆さんはどうですか?」

役員からそんな風に問われた参加者は、自然とその問いに答えようとします。そこに主体的でかつ、能動的な思考が生まれ、参加者の力、考えを引き出すことができたのです。

経営理念と人との「つながり」をつくる

さらにもう一つ、見事に社員と経営理念を共有することに成功した役員に共通していた特徴が、「経営理念に対する自分自身の思いを率直に伝えていた」ことでした。

自分自身の言葉で、自分が経営理念をどう捉え、実際に理念の具現化にどう取り組んでいるのかを語っていたのです。これにより、経営理念が血の通ったものになり、参加者の心に届くものになるのです。

『感じるマネジメント』では、理念が浸透した状態を、「理念と自分自身との「つながり」を見出し、行動を通じて表現している状態」と表現しています。単に理念を情報として「伝える」のではなく、理念と人を「つなげる」ことなのです。

「理念と自分とのつながりを語る。
理念と、相手とのつながりを問う。
自分と相手とのつながりを見極め、つながりをつくる。」

『感じるマネジメント』より)

ビジネスの世界では、論理や事実、事柄が重要視されがちです。しかし、そればかりだと、人と人とのつながりは切断されてしまいます。忘れてはいけないのは「人」であり、「思い」です。

経営理念に限らず、チームのビジョンを伝えるにしても、「私は……と思う」と自らを語り、「あなたはどう思う?」と相手に問うことを始めてみましょう。そこから「つながり」が生まれてくるのです。

【参考書籍】
■『感じるマネジメント』(リクルート HCソリューショングループ著 英治出版)

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