コーチング/人材育成・組織作り

こうすれば経営理念は共有できる!

企業の不祥事が後を絶ちませんが、そんなときに思い出されるのが「経営理念」。あなたの会社では、ちゃんと社員に共有されていますか? 経営理念を本当に共有するための伝え方を探ります。

宇都出 雅巳

執筆者:宇都出 雅巳

コーチング・マネジメントガイド


企業の不祥事が後を絶ちませんが、そんなときにいつも思い出されるのが「経営理念」。あなたの会社の経営理念は何でしょう? ちゃんと社員に共有されていますか? 経営理念を本当に共有するための伝え方を探ります。

《CONTENTS》●理念をただ伝えても、共有できません(1P目)●熱く立派なスピーチでも伝わらない(1P目)●「準備の罠」に気をつけよう!(2P目)●経営理念と人との「つながり」をつくる(2P目)

理念をただ伝えても、共有できません

立派なスピーチに自分で酔いしれていませんか?

最近、企業や官公庁の不祥事が相次いでいます。自らの利益の拡大を追い求め、仕事の手間を嫌う中で、最も大事な「顧客」の存在をないがしろにしてきた結果と言えるのではないでしょうか。

企業にしても官公庁にしても、掲げる経営理念を探ってみれば、「お客様第一」や「顧客満足」など、それに類する立派な言葉が並んでいるでしょう。本社や事業所には経営理念を書いた額が掲げられているかもしれませんし、社員や職員に聴けば覚えている人もいるでしょう。

しかし、知識として知っているだけでは意味がないのが、経営理念です。例えば、次のようなことが起きていないでしょうか?

●社長が役員会で「うちの経営理念はお客様第一だ。しっかりみんなに伝えるように」とスピーチした。

●役員会を受けて、役員は部長会で「うちの経営理念はお客様第一だ。しっかりみんなに伝えるように」とスピーチした。

●部長会を受けて、部長はマネージャー会議で「うちの経営理念はお客様第一だ。しっかりみんなに伝えるように」とスピーチした。

●マネージャー会議を受けて、マネージャーは朝礼で「うちの経営理念はお客様第一だ。しっかり覚えておくように」とスピーチした。

これで、社長が伝えたかった経営理念は、本当に社員に伝わったのでしょうか?

熱く立派なスピーチでも伝わらない

これは極端な例だと思われるかもしれませんが、これと似たようなことは実際に起きています。たとえ、経営理念を伝える立派な資料や、よく整理されたパワーポイントのプレゼンテーションを使って熱く語ったとしても同じことです。

あるグローバル企業の経営理念共有のプロジェクトを軸に、経営理念共有のポイントやプロセスを紹介した『感じるマネジメント』 (リクルート HCソリューショングループ著 英治出版)では、次のような例が紹介されています。

あるメーカーB社では、自分たちが大切にすべき価値観を「B社バリュー」としてまとめ、それを各拠点に浸透させていく取り組みを行っていました。各地域ごとに拠点マネージャーが集められ、本社の役員が手分けして価値観の説明を行っていったのです。そのうちのある会場での出来事です。参加者の前でスピーチを行ったその役員は熱く語ったのですが……。

「まるで大統領のような、立派なスピーチでした。練り上げられた言葉、声や身振り手振りに気持ちが乗っています。

しかし、参加者の反応は当の役員の意図とはかけ離れていました。バリューを熱く語って参加者に高揚感を持たせるはずだったのですが、彼らの気持ちはむしろどんどん沈んでいくようでした。」

『感じるマネジメント』より)

このB社の役員の何がいけなかったのでしょう? どんな風に伝えればよかったのでしょう?

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