コーチング/人材育成・組織作り

「上司の悩み」解決シリーズ1 「部下に意見したい」病を治す!(4ページ目)

「相手の中にある答えを引き出す」コーチング。上司のアドバイスや意見はしないのが基本です。とはいえ、部下の話を聴いていると、ついつい自分の意見を言いたくなってしまう……。そんなときにはどうすれば?

宇都出 雅巳

宇都出 雅巳

コーチング・マネジメント ガイド

大学時代から速読教室に通い始め、10を超える速読法を学び、行政書士、宅建、公認会計士試験など、試験勉強で実践研究を重ねる。その中で記憶術も実践。また、20年以上にわたりプロフェッショナル・コーチとして経験を重ねる。その経験に認知科学の知見を加えた独自の学習法・成長法を確立し伝えている。著書は25冊以上。

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「部下の中に答えはない」という考え

部下への素直な好奇心がカギ
その“体質”とは、「部下の中に答えはない」という考えです。コーチングの基本的な考えとして、「相手の中に答えがある」というものがありますが、それとはまったく逆です。多くの上司は、「部下ではなく、上司である自分の中に答えがある」という考えを持っています。

これはある意味、仕方がないことかもしれません。上司と部下の関係は、いわゆる純粋なコーチとクライアントとの関係に比べて、さまざまな利害関係、思惑がからむからです。

その代表的なものは、上司が自分を部下と比較する意識です。例えば、「自分のほうが部下よりも経験・知識が豊富であり、すぐれている」という自信。そして、「自分が部下よりもすぐれているところを見せなければ、バカにされる」という自信のなさ。こんな対抗意識から、多くの上司が「部下の中に答えがある」とは思えません。

「自分の中に答えがある」という考えから出てくるのは、自分の中に答えを探ろうとする意識であり、探り出した自分の意見を言いたくなるのは自然な流れなんです。上司はよっぽど気をつけないと、この“体質”から抜け出せません。

そして、この“体質”から抜け出した人が、優れた管理職、経営者となっていくのです。その典型的な例が、松下電器の創設者・松下幸之助です。彼は“素直”を大事にし、現場の技術者に対し、子どものような無邪気な質問を、目をキラキラさせて投げかけていたといいます。

大事なのは、部下に対する“好奇心”

「もしかしたら、部下の中に答えがあるかもしれない」

そんな問いかけ、部下に対する好奇心が、あなたの“体質”を徐々に改善していきます。先ほど挙げた2つの処方箋も、この好奇心とともに用いることで、単なる対症療法ではなく、あなたの体質を改善する療法として働いてきます。

「だれの話を聴いているかに気づく」ことに加えて、こんな好奇心を持つことで、あなたは部下の話をだんだんと聴けるようになってきます。

「意見を言って、それを手放す」ことを好奇心とともに行えることができれば、あなたの意見が部下の答え・可能性を引き出す材料となってきます。

こうやって部下の中にある答え・可能性に上司が気づくことによって、だんだんと「部下の中に答えがある」という考えを持つことができるようになってくるのです。

「もしかしたら、部下の中に答えがあるかもしれない」

そんな“好奇心”を持つことで、「どうしても部下に意見を言いたくなるんです……」という悩みはなくなってきます。逆に、こんな悩みが出てくるかもしれません。

「どうしても部下の意見がもっともっと聴きたいんです……」

そんな悩みを持ったとき、あなたの部下は生き生きと仕事をして、あなたの部・課・チームはとっても活力ある状態になっていきます。

そして、何よりも上司であるあなた自身がイライラせずに、楽しく部下の話を聴いて、マネジメントしていることに気がつくでしょう。

【関連サイト】
■「部下の話を黙って聴いていてはいけません--単なる“いい上司”ではダメ!」
■「これであなたも部下の話がさらに聴けるようになります--コーチングに必要な1枚の白紙」
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