「答え」ではなく「質問」することの意味
同じ花でも見え方が変わる |
「お前の目標は○○○だったよな」
こうやって部下に目標を具体的に伝えることも、質問することに比べればパワーが落ちます。いくら上司が強く伝えても、相手に質問を投げかけるほどのパワーをもたらさなないのです。次の文章を読んでから、右上の写真の花をご覧ください。
「この花は黄色です」
いかがでしょう? そして、今度は次の文章を読んでから、また右上の花の写真を見てください。
「写真の花は何色でしょう?」
いかがでしたか? 同じ写真の花を見てもらいましたが、見る前に読む文章の違いによって、あなたの見る意識、見え方が違うのに気づかれましたか? おそらく、後者の質問を読んでからのほうが、花に対する集中力が高まり、目も大きく見開き、さらによく見ようという意識が働いたと思います。
これは「確かに黄色だな」という確認の意識と、「これって何色だろう?」という好奇心の意識との違いです。ここで、先ほどの目標について考えてみましょう。上司のあなたが部下に対して目標を伝えるのと、質問を問いかけるのでは、目標に対する集中力、意識の差を生むことがお分かりいただけるでしょう。
まずは質問してみましょう!
いかがでしょう? 「質問」が持つパワーを考えれば、これを使わない手はありませんよね。もちろん、質問だけにパワーがあるのではありません。質問をするあなたと、質問を受ける相手がいて初めて、質問にパワーが出てきます。強いパワーがある決まった質問があるのではなく、相手や場の状況、そして質問を投げかけるあなたとがうまく組み合わさって、とてもパワフルな質問が生まれていきます。そのためにも、相手や場の状況を感じて、それに合わせた質問をしていくことが重要です。
また、すでに以前の記事でもご紹介したように、その質問がどこに焦点を当てているのかによって、その効果・インパクトは大きく変わってきます。
「それってどういうこと?」というように「事柄」に焦点を当てた質問は、説明を生みます。一方、「あなたにとって、それはどういう意味があるの?」といった「人」に焦点を当てた質問では内省を生みます。どこに焦点を当てるかによって、相手が向かう意識の方向も、そこから出てくる答えも変わってきます。
(参考:■「飲みに行くだけでは解決できない!――部下との距離、どう縮める?」)
とはいえ、まずは質問してみることです。部下や相手に意識を向けて、恐れずに質問を投げかけてみましょう。そして、その質問が相手にどんなインパクトを与えているか、相手に意識を向けつつ、よく見届けましょう。こういった体験のなかで、あなたは質問について、どんどん学んでいきます。そして、あなたのコミュニケーションは大きく変わっていきます。
この質問パワーを活用しない手はありませんよ!
【関連サイト】
■「コーチングの基本を知ろう!1――教えるコーチ・教えないコーチ」
■「コーチングの基本を知ろう!2――コーチはタクシーの運転手です」
■「飲みに行くだけでは解決できない!――部下との距離、どう縮める?」
■「コーチングの基礎を学ぶ2:質問」
■「部下の目標を明確にし、やる気にする」
■「コーチングって何だろう?」