コーチングにおける好奇心と質問の重要性
「もしかして同じではないかもしれない」「もしかして自分は知らないかもしれない」。こんな好奇心がコーチングにとっては重要です。これによって、相手の中に隠れている可能性や変化に気づくことができるからです。
「いつもと同じ」「こいつは変わらない」「そんなことはわかっている」。
こんなふうな“知ってるつもり”“分かったつもり”では、相手の可能性にも変化にも気づくことができませんし、相手の可能性や力を引き出すことができません。
そして違いを明確にして、新たな世界を切り開いていく具体的なカタチが質問です。好奇心を持つと自然と質問があふれてきます。そして、質問が意識の焦点を決めていきます。
「この二つのボールのうち、どちらが重いですか?」
この質問で勝手にあなたの意識は二つのボールの重さの違いに焦点があっていきます。
もちろん、「同じ重さだ」という答えが返ってくるかもしれません。大事なのは、そのときに、「もしかして違うとしたらどうだろう?」と好奇心を持ちつづけられるかです。質問をし続けられるかです。
おそらく、イチローはいつも好奇心をもって、常に自分に質問を投げ続けているのだと思います。そして、質問を投げつづけた結果、だんだんと感覚が研ぎ澄まされ、違いを明確に知ることができるようになったのでしょう。
ついつい好奇心は鈍りがちです。“わかったつもり”になったほうが楽なので、好奇心はついつい閉ざしてしまいます。コーチは、そんなふうに鈍り、閉じた相手に代わって、好奇心を持ちつづけ、質問を投げかけつづける存在なのです。そして、その好奇心、質問に相手は呼び覚まされ、自らの好奇心を目覚めさせ、可能性に気づいていくのです。
(参考文献:『日本人大リーガーに学ぶメンタル強化術 』(高畑好秀著 角川書店))
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