メジャーリーグの年間安打新記録を樹立したイチロー。それを可能にしたのは意外とシンプルな力でした。そこには人間関係をよくするコツ、さらにはコーチングを行う秘訣までもが隠されていたのです。

イチローが素晴らしいプレーをできる秘密(1P目)ボールの重さを感じる力(1P目)相手の状態を感じる力(2P目)大事なのは「同じではないかもしれない」という好奇心(3P目)コーチングにおける好奇心と質問の重要性(4P目)


イチローが素晴らしいプレーをできる秘密

毎日同じ挨拶の微妙な違いに気づいていますか?
2004年の今シーズン。あのメジャーリーグの年間安打記録を塗り替えて、アメリカ人もびっくりさせたイチロー。
「もし、自分がイチローだったら……。」「イチローみたいな部下がいたら……。」 そんなふうに思われた方も多かったでしょう。

とはいえ、そんなふうに思えるのも束の間。「イチローは天才だから……。」「小さいころからものすごい努力をしているから……。」と、自分や部下とは縁遠い存在だと諦めて、ため息をついたかもしれません。

確かに、抜群の身体の柔軟性、バットコントロールの巧みさ、正確にホームに送球できる強い肩などなど、イチローが生まれつきの天才、もしくは並外れた努力の産物であることには間違いありません。でも、それは誰にもマネできないものなのでしょうか? ビジネスに生かせるものはないのでしょうか?

実は、イチローの秘密はだれもが持っている力にありました。もちろん、あなたも持っているものです。そのキーワードは、「乾いたボールと湿ったボール」。さて、どういうことでしょう?

ボールの重さを感じる力

最初に一つ質問です。
野球のボールの重さは日によって違うと思いますか?

「日によって重さが変わるわけないよ。」これが普通の答えでしょう。ほとんどのプロ野球選手も同じ答えです。しかし、イチローは明確に「違う」と言うのです。

これはメンタルトレーナーの高畑好秀さんが、オリックス時代のイチローと話したときの逸話です。イチローから高畑さんは二つのボールを渡され、どちらが重いかどうかについて聞かれたそうです。高畑さんはどちらも同じ重さにしか感じられなかったそうですが、イチローはこう言ったといいます。

「湿気を帯びている分だけ、こっちの方が重い」 (『日本人大リーガーに学ぶメンタル強化術 』(高畑好秀著 角川書店)より)