経沢香保子社長 伝説を生むキャリア戦略(3ページ目)

転職必勝の「スタートダッシュ」

▲転職は「くじ」じゃない。2004年12月、女性幹部・社長人材に特化した人材紹介サービス「ones.be」を立ち上げた。

その後経沢さんは、２度転職している。注目すべきは２度の転職をどちらも成功させ、２社で新たな“伝説”を作ったことだ。転職は思ったほど簡単ではない。実際には「転職に失敗する人」も多いのだ。彼女は『スタートダッシュ』の大切さを強調する。

「組織で自分の価値を一番発揮できるのは、『転職や異動した直後』だと思います。最初にいい結果を出せば、周囲に『使える人』という印象を与えられ、その後の仕事もうまくゆきます。逆にそこでつまずづくと、挽回するのはとても困難なのです」

こんなエピソードを聞いた。楽天に転職した直後、1000万円超の広告枠が売れ残っていたそうだ。彼女は三木谷社長に直訴。社長のポケットマネーを引き出し、それを賞金に「営業キャンペーン」を企画した。

彼女は、事前に十分な策を練り、短期間ですべての枠を受注させてしまう。その成果が認められた彼女は、その後社長特命任務など、重要な仕事を任せられるようになった。

転職は「くじ」じゃない

経沢さんはいい会社を転職先に選んでいると思う。従業員数十名規模だった楽天に、大ブレイクする可能性を直感。その前職でも「モバイルアドバイザー」という新資格をプロデュースするチャンスを得ている。

彼女にはいい転職先を見つけ出す“眼力”があるのではないか？

「そうかもしれませんね。そして私は、転職は転職先を選ぶことより、その後の行動で『道を切り開く』ことも大切だと思っています。転職は“くじ”ではないんですよ。Ａ・Ｂ・Ｃという選択肢があって、Ａは“アタリ”で、Ｃが“ハズレ”といったものではありません。選んだ会社で自分が楽しめるように工夫することだと思います」



●関連ガイドサイト：転職のノウハウ

プロフィール
トレンダーズ株式会社 代表取締役 経沢 香保子 氏

1997年３月慶応義塾大学経済学部卒業、同年４月リクルート入社、人材総合サービス部門で活躍。98年エイ・ワイ・エーネットワーク入社、教育事業の立ち上げ・人材採用などを手掛ける。99年楽天入社、営業部・社長室を経て、新規事業「楽天大学」設立。2000年４月トレンダーズ設立、代表取締役就任。Ｆ-１層（20-34歳女性）を活用するマーケティング事業や中小企業ＰＲ代行サービス「広報担当」、女性幹部・社長専門の人材紹介サービス「ones.be」、「女性起業塾」などを立ち上げている。05年４月より経済産業省「産業構造審議会」委員。今年６月から女性専用のソーシャルネットワークサービス「only1.be」をスタート。

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