景観地区の指定実績はまだ少ない
市街地における景観意識の高まりにより、「景観地区」が全国各地で指定されているような印象も受けがちですが、実はまだ22地区(平成20年6月1日現在:国土交通省資料による)に過ぎません。そのうち京都市が8地区を占め、他は北海道倶知安町、東京都江戸川区、神奈川県藤沢市(2地区)・鎌倉市(2地区)、静岡県沼津市・熱海市、岐阜県各務原市(2地区)、岡山県倉敷市、島根県松江市、広島県尾道市、沖縄県石垣市となっています。その一方で、景観法による景観行政団体として345の地方公共団体(都道府県、政令指定都市、中核市、市町村)が指定され(平成20年6月1日現在、公示予定を含む)、それぞれが景観計画の策定など景観行政を行なうこととなっています。
都市計画法の地域地区による「景観地区」と紛らわしく感じられる部分も多いでしょうが、「景観地区」が主に建築物や工作物をこれから建てようとするときの形態意匠の制限であるのに対し、景観法による景観計画は「景観重要建築物」や「景観重要樹木」の指定や現状変更の規制、「景観重要公共施設」の整備、「景観農業振興地域整備計画」の策定、「景観協定」の締結や認可、屋外広告物の制限など、幅広い景観保全手段を包括したものです。
なお、景観計画区域内で建築物の建築、開発行為、その他政令や条例で定める行為をしようとするときには、あらかじめ景観行政団体の長に届出をしなければなりませんが、これは都市計画法による「景観地区」とは別の手続きですから混同しないように注意が必要です。
いずれにせよ、景観行政団体による景観計画の具体化はこれからのところも多いようです。計画の整備が進むにつれ「景観地区」の指定が次第に増えていくことも予想されます。
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