日本の高度成長期には都市部でも郊外でも、住宅地の開発によって自然を破壊してしまう例が少なくありませんでした。その後も都市景観を考慮しない無秩序な開発や建築が多く、景観に対する意識が高まってきたのはまだ最近のことでしかありません。

水路
いつまでも残しておきたい景観は、全国各地に数多く存在する
そんななかで平成16年12月に施行されたのが、いわゆる「景観緑三法」(景観法、景観法の施行に伴なう関係法律の整備に係る法律、都市緑地保全法等の一部を改正する法律)です。

これにより都市計画法のなかの「地域地区」に、「景観地区」の規定が取り入れられました。今回はこの「景観地区」について、簡単に説明をすることにしましょう。


「景観地区」は「美観地区」に代わるもの

都市計画法には従来から「美観地区」という規定がありましたが、法改正(平成17年6月1日施行)によってこの「美観地区」が廃止され、その代わりに新設されたのが「景観地区」です。

従来の「美観地区」は、すでに形成されている市街地の美観を維持することが目的だったため、良好な景観をこれから創りだそうという地区には適用することができませんでした。それが「景観地区」によって可能となったわけです。

【景観法第61条】市町村は、都市計画区域又は準都市計画区域内の土地の区域については、市街地の良好な景観の形成を図るため、都市計画に、景観地区を定めることができる。


景観地区で定められるもの

市街地の景観はそれぞれの地域によって特徴が大きく異なります。また、これから目指すべき景観の方向性も当然ながら違うものです。そのため、景観地区で定められる制限は全国共通ではなく、地域の実情を反映したものになります。

〔必ず定められるもの〕
□ 建築物の形態意匠の制限

〔選択的に定められるもの〕
□ 建築物の高さの最高限度または最低限度
□ 敷地面積の最低限度
□ 壁面の位置の制限

これらの制限のうち「建築物の形態意匠の制限」については、周囲の建築物や自然景観との調和など、数値化できない要素が主体とならざるを得ません。そのため、景観地区内で建築をしようとするときは建築確認とは別の手続きにより、「都市計画による建築物の形態意匠の制限に適合するかどうか」について、市町村長の認定(認定証の交付)を受けなければならないことになっています。

それ以外の景観地区による制限については、通常の建築確認のなかで審査されます。


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