不動産売買の法律・制度/不動産売買の法制度

建ぺい率、これだけ分かれば万全の基礎知識

建ぺい率の制限は、住宅を検討するときにぜひ知っておきたい基礎知識の一つです。しかし、建築や不動産に接していないとなかなか分かりづらい部分も多いでしょう。建ぺい率について、図解を交えながらなるべく分かりやすく解説してみました。(2017年改訂版、初出:2011年6月)

執筆者:平野 雅之


住宅や土地を購入するとき、あるいはこれから住宅を建てようとするとき、ぜひ知っておきたい建築知識の一つが「建ぺい率」です。

その敷地にどれくらいの大きさの住宅を建てることができるのかを左右する、重要な規定である「建ぺい率」について、一般消費者なら「これだけ分かれば大丈夫」という基礎知識をまとめてみましたので、住宅の取得を検討している人はぜひ一読してください。


建ぺい率とは何か?

建ぺい率とは建築面積の敷地面積に対する割合のことで、難しい漢字で書けば「建蔽率」です。「蔽」には「おおう、かくす、さえぎる」などの意味があり、「敷地面積のうち建物がおおっている面積の割合」とイメージすれば少し分かりやすいでしょう。

ちなみに、従前は「蔽」が常用漢字として認められていなかったため一般的にも、また建築基準法の条文などでも「建ぺい率」という表記がされています。

しかし、2010年内閣告示の「常用漢字表」において「蔽」の字が追加されましたので、これからは「建蔽率」と表記されることが増えてくるかもしれません。

建ぺい率による建築面積の制限は、敷地に一定の空地を残すことによって採光や通風を確保し、火災による延焼防止を図り、さらに良好な市街地環境を整えるためのものです。


建築面積とは?

建ぺい率の対象となる建築面積は「建坪(たてつぼ)」ともいわれますが、建物を真上からみたときの水平投影面積となります。なお、この「建坪」は延床面積(1階と2階の合計面積など)ではありませんから注意してください。

一般的な1階と2階が同形の住宅、あるいは1階のほうが広い住宅であれば、「1階の面積=建築面積」と考えて差し支えありません。また、「建物を真上からみたときの面積」といっても、住宅の軒や庇(ひさし)などは原則として考えなくても大丈夫です。
建築面積の例その1
1階の一部がカーポートなど開放された(壁のない)空間で、2階のほうが広い住宅であれば、ほぼ「2階の面積=建築面積」となります。3階建て以上の場合も同様に、最も広い階の床面積で考えればよいでしょう。
建築面積の例その2
なお、構造的に不安定で、あまり現実的ではありませんが、もし下図のような住宅があれば、それぞれ突き出した部分の面積を建築面積に加えなければなりません。
建築面積の例その3
また、地階の一部が地盤面より高くなっている場合でも、それが1m以下であれば建築面積には算入されません。逆に、1mを超えて地盤面より上に出ている地階は、他の階より横に突き出した部分が建築面積に含まれます。
地階がある場合の建築面積
さらに、軒、庇(ひさし)、バルコニーなど、外壁から横に突き出した部分がある場合でも、それが1m以内であれば建築面積には算入されません。

これが1mを超える場合には、その先端から1mまでの部分が建築面積に算入されず、1mを差し引いた残りが建築面積に含まれます。たとえば、突き出した幅が1m20cmであれば、20cm分が建築面積に算入されます。
軒などの建築面積

建ぺい率の限度の違い

建ぺい率を知れば、その敷地に建てることが可能な最大建築面積を求めることができます。都市計画によって指定される建ぺい率の上限数値(指定建ぺい率といいます)は、用途地域との組み合わせで以下のように決められています。

指定建ぺい率の数値
指定建ぺい率
なお、指定建ぺい率の数値について建築基準法では「十分の五」「十分の六」などといった分数による表記がされているものの、一般的にはパーセントで表示することが多くなっています。


建ぺい率の緩和、特例、注意点など…次ページへ

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