肉が華となる。
・ミスジ肉の黄味煮
「ミスジ」を煮ることで、絶妙の食感と旨味を生み出す。 |
先付けで、いきなり「ミスジ肉」の登場です! ロゼ色を残した絶妙の熱加減で、程良い弾力性と、肉の上質なジューシーさが溶け込み合い、目が覚めるような興奮する旨さ! 一皿目で肉質の凄さを実感するとともに、これから出てくる料理に期待を抱かせます。
・三種盛り
どれも手間暇かけてしっかりと作り出されているのが、食べてみると改めて実感できます。 |
三種盛りは、「ローストビーフの幽庵漬け」・「ミノの湯引き酢みそ和え」・「内ひら肉の胡麻風味&パストラミ風味」という内容。どれもバラエティ豊富な手の込んだ一品ばかりで、酒が進みます。この日に頼んだ日本酒「飛露喜」とも相性ピッタリ。
特に「ローストビーフ」や「酢みそ和え」などは、上質な和牛を使って一流の料理人さんが作ると、一般的に市販されているものとは別格の仕上りになりますね。内ひら肉も胡麻風味&パストラミ風味の二種という嬉しい演出。
・タンの塩漬けと海老しんじょうの椀物
見た目も美しい椀物。「タン」と「海老しんじょう」という斬新な組み合わせがいいですね。 |
この店でもっとも特筆したいのが、この和牛を使った「椀物」。椀物に「肉」、しかも「海老しんじょう」と合わせるのは、さすがにビックリですが、これがこちらの予想外に見事な調和のとれた逸品に仕上がっているのです。まるでどこかの碧い湖のような、透明感のある淡い味わいが印象的で、肉(タン)と海老しんじょう、それに出汁が渾然と化し、舌の上で美しく澄み渡ります。
店内のあちらこちらに飾られてある芸術品のように、ご主人の作り出す肉料理は、大胆な組み合わせなのに、そこには素晴らしい味わいがあり、しかも迷いやブレがまったく感じられません。
もうこれを食べた時点で、私の「肉」に対する先入観は完全に消え、ご主人が作り出す芸術的なまでの肉料理世界に、ただただ浸っていくのみでした。
・イチボ肉のタタキとすぐきの和え物
すぐきの歯応えと、イチボ肉の食感が渾然一体するのです。 |
今度は「イチボ肉」と京漬物である「すぐき」のコラボレーション! 先程のタンの椀物を食べた後は、もう何が出てきても絶対に驚かない、と心に決めていましたが、これまた度肝を抜かれましたね。素材の掛け合わせだけではなく、その予想外の美味しさに。
「牛肉」と「すぐき」という一見、水と油のような食材を巧みに混ぜ合わせ、一種独特な雰囲気を漂わせますが、食べてみると思わず、女将さんに「これ、本当に「すぐき」ですよね?」と確認してしまったほど相性がピッタリ。私も家では「すぐき」をチャーハンの具に入れることはありますが、それは御飯との相性を狙ったものであり、まさか肉単体と合わせることで、これだけの相性の良さが生まれてくるとは、さすがに知りませんでした。「牛肉」に京都らしい食材を合わせようとする、実に京都人の心情を考慮された傑作品。
・にぎり・トロ肉の漬け丼・トロ肉の巻きずし
トロ肉尽くし! もはや、言葉をなくす旨さです。 |
これはもう説明不要ですね。旨さのほどは写真を見てもらえば分かったいただけるはず。これだけ上質なお肉を、3種類の調理法で白御飯に合わせるという、何とも贅沢な一皿です。「にぎり」は赤身の旨味分子が口の中で弾むように堪能でき、「漬け丼」はうっとりくるような舌触り。しば漬けの入った「巻きずし」は、先程に出た「すぐきと肉」の相性にも似た味わいがあり、飾りで付いていた「わさびの葉」にくるんで食べれば、より一層豊かな風味に。
そして、この後に出てきた「タン」を使った究極の一品が、麻生的に本年度第一位の逸品だったのです。
次ページでは、究極のタン料理、そしてステーキ御飯と可憐なデザートの登場です!