コムシコムサ(3ページ目)

御茶漬けという嬉しすぎるサプライズ

秋ということでジビエをオーダー。内蔵までシッカリと使ったソースは、肉の野性味を一段と引き立たせる。

・メイン
「山鳩のロースト　その内臓のソース」
ジビエの季節ということで、山鳩を選んでみましたが、これがやはり大正解！　今だけの季節の味を内臓ごと堪能できる一皿で、骨太かつストレートなテクスチャなのに、複雑さもあり、品格と繊細さを持ち合わせたコクが、内臓のソースと絶妙のバランスで解け合っています。ソースにはトランペット（キノコ）が格別のアクセントになっていて、秋の滋味をより一層引き立てています。まさに秋食材のオーケストラといったところでしょうか。

トランペット自体が黒いので、全体的に濃い色に見えますが、実物はしっかりとした深いガーネット色に満ちており、美味を予感させる芳香がなんとも食欲を増してきます。実に野趣あふれる一皿。ブラボー。

・一口の変わり御飯　または　チーズ盛り合わせ

〆はなんと御茶漬けです！　見事なサプライズですが、お味も最高。至福の一膳でございました。

「牛しぐれ煮の御茶漬け」
この店でもっとも特筆したいのが、この「一口変わり御飯」と名付けられた「和」の一品。やはり、ここは京都ですから、フランス料理のお店でも、〆はお茶漬けを食べたい！　という我が侭な京都人のために用意されているのでしょう。極レベルのフレンチが続いた後に食べる御茶漬けというのは、予想外の感激がありますね。しかも今回は牛しぐれ（山椒たっぷり）が茶漬けネタですから、生粋の京都人なら間違いなく失神物。ただ、毎回お茶漬けが出るわけではなく、季節によってはカレーや雑炊が出ることもあるとのことですので、どんな御飯物が出るかは、その日のお楽しみということです。

これが本日のチーズたち。マダムが一つずつ丁寧に説明してくれます。

ただ、この時点でまだワインが残っている人には、「チーズ盛り合わせ」を選択されるのもいいでしょう。この日に選んだのは、サンシモン（スペイン）とミラベラ（フランスのウォッシュタイプ）と24ヶ月熟成のミモレット。どれも変な癖もなく食べやすいタイプで、この日に頼んだワイン（ドメーヌ・ラ・グラーヴ・ヌーヴォー・ルージュ 2006）にもピッタリ。料理だけではなく、こういったワインやチーズに至るまで全てのレベルが高いと、感動を超えて幸福感すらあります。御夫婦の食材選びのセンスには本当に感服です。

・デザート

甘・酸・温の三拍子揃った癖のないまろやかな味わい。昔、ローテンブルグ（ドイツ）で食べたアップルパイを思い出しましたね。

「林檎のソテーのキャラメルソース　バニラアイス添え」
表面を覆うパリパリとした生地を崩していくと、その内側には、ソテーされた林檎とまろやかクリーミーなアイスが存在し、林檎の甘酸とキャラメルソース、それに冷たいアイスの食感が、アイスを取り囲む生地の舌触りと合わさり、絶妙のバランスで互いを引き立たせあうのです。