漬物までもが旨い

焼物 其の弐
鰆。
味噌の香を嗅いだだけで、思わず白御飯が欲しくなる。

続いてはもう一品、焼物の登場です。大皿で鰆の腹身が出てきましたが、今度は背肩部分を味噌漬けにしたものです。腹身を食べた後なので、感動が薄れるかな……と思いましたが、全然そんなことはなく、味噌の香ばしい薫りが食欲をかき立てましたね。


煮物
汁物。
あこう鯛のエキスが染み出て、極上の出汁を演出する。

煮物は「あこう鯛」「小蕪」「水菜」を使った一品。最後は、やはり出汁物で、ということで供されました。私は「さヽ木」の鰹が利いた出汁に惚れ込んでいますので、訪問した際には、この出汁を堪能しないことには帰れません! そんな私のような出汁ファンを、ヤキモキさせながら最後の最後で、ついに出汁物の登場ですよ。椀物とは違いますが、私が「さヽ木」の真髄だと確信している出汁を使った料理ですから、これ以上の感激はありません。やはり佐々木さんは、こういった演出も上手い!

この日に味わった出汁は、あこう鯛の骨を焼いてから、蒸して取ったもの。ぐつぐつ煮出す方法とはひと味違います。もちろんベースの出汁は鰹ですが、「祇園さヽ木」では、ちゃんと鰹節を使う当日に自店で削られています。機械で削ったものとは違い、その風味の高さたるや、文句なしです。


御飯
イクラ御飯。
土鍋が色鮮やかな赤色で埋まる程のイクラの量! もはやイクラの中に御飯が入っている感覚です。

そして、「さヽ木」のお楽しみと言えば、〆の土鍋御飯ですね。この日はイクラ御飯でしたが、イクラがあまりにたくさんの量入っており、イクラ御飯なのか、御飯イクラなのか分からないぐらい。それくらいイクラだらけ。イクラは口の中に入れただけで溶けてしまうほど柔らかく、久しぶりに上質なイクラを堪能させてもらいました。御飯は出汁で炊いてあり、これまたイクラと相性抜群! 今までいろんな店でイクラ御飯は食べてきましたが、やはり「さヽ木」のイクラ御飯が麻生的には究極のイクラ御飯です。

隣の年配グループ客の方々と、楽しく譲り合いながら食べていましたが、結局私が一番若いということで、一番数多くお代わりさせていただきました。こういう隣客の人と仲良くなれるのも、「祇園さヽ木」の魅力の一つといえるでしょう。


香の物
漬物。
臭みのないアッサリした浸かり方が、程良い。

さヽ木の漬物は本当に私好みの優しい漬け方。漬物は家庭の味ということもあり、私の母君が作る漬物が世界一だと思っていますが(好みという意味で)、「さヽ木」の漬物は、それと同じくらい好きですね。他に漬物で感激した店は「千ひろ」ぐらいでしょうか。京都人は漬物の好みにはウルサイですから、好みに合う店がなかなか見つからないのです。


水物
水菓子。
柿の葉が、秋を演出。それにしても今の時期に、これほど色付いている柿の葉も珍しい。

水物(デザート)は、梨と巨砲のジュレかけ、栗のクリームブリュレです。最近はデザート作りにも力を入れている佐々木さんですから、どれをとっても安心して美味しくいただけます。それに「さヽ木」の水物は、洋菓子だけではなくて、ちゃんと生果物(この日は幸水と巨峰)が入っていますので、より一層満足感があります。


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