暮らしの歳時記/夏の行事・楽しみ方(6~8月)

扇子の使い方・マナーとは? 風流美人になれる上品な作法、オバチャン化するNG使い方

扇子の使い方やマナーに気をつけていますか? とくに女性は作法ひとつで上品に見えます。若い人でも扇ぎ方ひとつでオバチャンに見えてしまうので要注意。乱暴に扱うと扇子の寿命も縮みます。親指で骨をずらすように押して開くなど、たしなみを感じさせる扇子の使い方をマスターし、 夏だけでなく日常でも素敵に使いこなしましょう!

三浦 康子

執筆者:三浦 康子

暮らしの歳時記ガイド

扇子の上品な使い方・マナーを身につけて風流美人に

扇子の上品な使い方マナー、向き・表裏・寿命

扇子の上品な使い方マナーをきちんと身につけて、風雅美人になりましょう

冠婚葬祭やお稽古事で使う特別な扇子もありますが、暑い季節に涼をとるための扇子は、夏ならではの風情を感じさせます。

では扇子の使い方マナーに気をつけていますか? 特に女性は要注意。なにげなく扇いでいると、若い人でもオバチャンに見えてしまう……。たしなみを感じさせる扇子の使い方をマスターし、 夏だけでなく日常でも素敵に使いこなしましょう!
     

風流美人になるか、オバチャンになってしまうかは扇子の使い方次第!

ひと昔前は扇子に対してこんなイメージがありませんでしたか?

【優雅な貴婦人】
お年を召した方が、ゆったりと涼をとるイメージ。
⇒上品で素敵なのでいずれ真似したい!

【オバチャン】
オバチャンが、せわしなく暑さをしのぐイメージ。
⇒品がいいとはいえないから真似したくない!

昔は伝統的な絵柄が主流で熟年向きだったので、若い人にフィットする扇子ではありませんでした。しかし、現在はモダンな扇子が増えており、お洒落アイテムのひとつになって大人気。

そこで気をつけたいのが、扇子の使い方です。デザインがモダンになったお陰で"優雅な貴婦人"がぐっと若返り"風雅美人"になれるチャンスなのに、使い方が"オバチャン"になっていませんか?
 

扇子の豆知識、京扇子と江戸扇子 扇子には京友禅をもとにした雅やかな「京扇子」と、粋でさっぱりとした「江戸扇子」があります。
以降の写真では、今では貴重な江戸扇子の伝統工芸士・松井ひろし氏の作品をご紹介します。東京造形大学とのコラボ作品で、学生による斬新なデザインと松井氏の熟練の技が融合し、今までにない魅力的な扇子が誕生。まずこちらは、艶やかなバラが印象的な「江戸川名物扇子 はな ピンク」

以降の写真では、今では貴重な江戸扇子の伝統工芸士・松井ひろし氏の作品をご紹介します。東京造形大学とのコラボ作品で、学生による斬新なデザインと松井氏の熟練の技が融合し、今までにない魅力的な扇子が誕生。まずこちらは、艶やかなバラが印象的な「江戸川名物扇子 はな ピンク」

■京扇子
通常は竹骨を30本程度、多いものでは100本近く使います。多くの職人が数々の工程を分業でまかなっており、扇子の主流です。

■江戸扇子
竹骨を15本~18本しか使わないため、折り幅が広く、閉じる時にパチッと音がすることも。ほとんど全ての工程を1人で行いますが、職人さんが4~5人しかいない現在、江戸扇子は貴重な伝統文化になってしまいました。
 

扇子の使い方3大NGに注意! 親指で骨をずらすように開きましょう

こちらは小松菜がモチーフで男性にもマッチ。小松菜は江戸川区小松川の地名に由来します。「江戸川名物扇子 小松菜」

こちらは小松菜がモチーフで男性にもマッチ。小松菜は江戸川区小松川の地名に由来します。「江戸川名物扇子 小松菜」

こんな扇子の使い方をしていませんか? 身に覚えのある方は「オバチャン」に見えているかも……

■NG1:バタバタとせわしなく扇ぐ
一刻も早く涼みたいという気持ちもわかりますが、せわしない動きは優雅さとは程遠く、暑苦しくさえ感じさせるでしょう。それに、扇風機の「強」が至近距離ではつらいように、微風(そよかぜ)のほうが心地良いのです。ゆったりと扇いで、涼風と優雅な雰囲気を漂わせましょう。

■NG2:とりあえず使えれば柄にこだわらない
扇子は注目アイテムなので、本人が思っている以上に目立ちます。あなたのセンスが問われますから、野暮ったい扇子は避けること。開いた瞬間、「素敵!」「粋だねぇ」と思わせるような、こだわりの扇子を持ちましょう。

■NG3:開け閉めはテキトーだ
真横に引っ張って開いたり、大袈裟に開いたり、雑に閉じたりすると、がさつな人に見えます。ピシッと閉まらずはみ出した扇子が、あなたを物語ってしまうかも。開けるときは、右手の親指で骨をずらすように押して開きます。スムーズな開閉は扇子の作りにも依りますから、良質のものを選びましょう。また、人から借りた扇子はいつも以上に丁寧に扱ってくださいね。

この3つをクリアするだけでも、かなりの風流美人になれますが、さらに優雅な扇子使いと、たしなみを感じさせる扇子の使い方があります。
 

扇子から漂う優雅な香り……香りを纏った扇子

なんとも涼しげなグラデーションの江戸扇子。形そのものまで左右非対称になった斬新なデザインで、閉じた時にも美しいグラデーションが出る逸品。「グラデーション和扇子 ミズイロ」

なんとも涼しげなグラデーションの江戸扇子。形そのものまで左右非対称になった斬新なデザインで、閉じた時にも美しいグラデーションが出る逸品。「グラデーション和扇子 ミズイロ」

涼しい風だけでなく、香りを楽しむことが出来るのも扇子の楽しさでしょう。白檀や桧を使ったものは、扇ぐたびにほのかな香りが漂ってきます。こうした香りのある木・香木を使った扇子は少々値が張りますが、香りが何年も続く本格的アイテムです。

日本は湿気が高いので空気中に香りの粒子がとどまりやすく、香りがとても引き立つと言われています。

お香と一緒に収納し、香りを移してもいいでしょう。香水をかける方法もありますが、生地が変色したりしないよう注意。ガーゼなどに香水をかけ、扇子と一緒に収納するほうが無難です。ただし、あまり香りが強すぎるとTPOにそぐわない場合もありますから、和かな香りにとどめましょう。
 

たしなみを感じさせる扇子の使い方

愛らしい金魚が絶妙に配され、実に和モダン。涼しげですね。「江戸川名物扇子 金魚」

愛らしい金魚が絶妙に配され、実に和モダン。涼しげですね。「江戸川名物扇子 金魚」

扇子には涼をとる以外にもさまざまな役割がありますが、暮らしの中で役立つものをご紹介します。

ご挨拶する時に使う
座って挨拶をする際、膝前に扇を置いて礼をすることがあります。これは、扇子に自他の境をつくる結界(けっかい)の役割をもたせたもので、婚礼などで帯に挿しておく「祝儀扇」や、茶の湯で使う「茶扇」などがまさにこれで、涼を呼ぶ扇子に比べると小ぶりです。日常でそこまですることはありませんが、贈答品を持参したり、正式なご挨拶をするときに用いると、たしなみを感じさせます。

お金を渡す時に使う
御祝儀、御礼、月謝などを渡す時に、広げた扇子の上に乗せて渡すことがあります。もともとお金はお盆に乗せたり、袱紗(ふくさ)に包んだりしてお渡しするもので、扇子はお盆と同じ意味があります。覚えておくといざという時に役立つでしょう。

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