ひな祭りの「白酒」とは? 多くの人が勘違いしている「甘酒」との違い
白酒とは? ひな祭りの定番「白酒」と甘酒は別物です
昔から、ひな祭りには白酒が欠かせないものでしたが、もともとは桃が百歳を表す「百歳(ももとせ)」に通じることから、桃の花を酒に浸した「桃花酒(とうかしゅ)」を飲む風習があり、その後、江戸中期になってから、白酒が好まれるようになったそうです。
しかし、「白酒って子どもの頃から好きでした」という方は、大きな勘違いをしているか、法律違反のおそれがあります。また、白酒を飲んだことがある方は意外と少ないそうで、甘酒のことを白酒だと思っている方がほとんどです。あやふやになりがちな白酒と甘酒の違い、桃花酒についてご紹介します。
<白酒 目次>
白酒とは? 子どもが飲んではいけません! 家庭で作ってもいけません!
白酒とは、蒸したもち米にみりん、または米麹と焼酎などを混ぜて仕込み、約1カ月間熟成させた後にすりつぶして作られたもの。アルコール度は10%前後で、甘みが強く、酒税法上ではリキュールに該当します。ということは、いくら甘くて飲み口がいいと言っても、お酒ですから子どもは厳禁。「子どもの頃から白酒が好き」という方は、同じような甘酒と勘違いをしているか、年齢的に禁断の飲み物に手を出してしまっているかのどちらかなのです。
また、大人であっても白酒と甘酒を混同している人が多く、「家で作って」という方は、甘酒と勘違いしているようです(白酒は家庭では作れません)。
江戸時代に誕生した元祖・豊島屋の白酒とは?
『江戸名所図会』の一部。豊島屋の前に医師ととび職が待機しており、殺到する客が怪我をするのに備えている様子も描かれています。 |
話によると、初代の豊島屋十右衛門の夢枕にお雛様が現れ、白酒の美味しい作り方を伝授されたのだそうです。それが江戸中の評判となり、徳川将軍も愛飲されるようになりました。
こうして、独特の粘りと甘みで飲み口もよくて女性にも飲みやすい、白い色で桃の花との対比もめでたいということで、ひな祭りに白酒を飲む風習が全国に広がっていきました。
■豊島屋の白酒
江戸時代とほとんど変わらぬ製法の元祖・白酒を今でも販売しています!
※季節の人気商品のため完売次第終了です
■ちょっぴり雑学……白酒いろいろ
「白酒」には読み方が3つあり、それぞれ意味が異なります。
- 白酒(しろざけ)……ひな祭りなどに用いる甘みの強い酒
- 白酒(しろき)……神事に供される酒
- 白酒(はくしゅ)……どぶろくなど
甘酒とは? ノンアルコールなら、子どもでも飲めます
白酒に似た飲み物として 甘酒がありますが、こちらはご飯やお粥に米麹を混ぜて一昼夜55度前後で保温し、デンプンから甘い糖分を引き出したもの。この方法で作られたものはアルコール度数1%未満なので、甘酒とはいうもののお酒には該当しませんから、お子様でも安心です。
また、一晩でできることから一夜酒(ひとよざけ)とも呼ばれ、昔から手作りの飲み物として親しまれており、ひな祭りの飲み物として取り入れる方が多いのです。
酒粕を使った甘酒とは? 酔ってしまうかも
それから、酒のしぼりかすである酒粕に砂糖や水、しょうがを加えて作ったものも甘酒と呼ばれています。こちらはアルコールを含んでいるので、寒い中で飲むと身体の芯から温まります。■ちょっぴり雑学……甘酒は夏の季語
甘酒は寒い冬の印象が強いのですが、夏の季語になっています。江戸時代、甘酒売りは氷で冷しながら甘酒を売っていたそうで、栄養ドリンクとして夏バテ防止に親しまれていたのです。
■甘酒のおすすめレシピ
炊飯ジャーで作る甘酒
「毎日のお助けレシピ」ガイドによる甘酒の作り方。ご家庭でどうぞ!
桃花酒(とうかしゅ)とは? 桃の花を浸したお酒
桃は百歳(ももとせ)に通じることから、諸病を取り払い顔色を麗しくするといわれています。また、古代中国に、桃の花が流れる川の水(桃花水)を飲んだら300歳の長寿を得られたという故事があり、平安の貴族たちは3月3日に曲水の宴を催して、桃の花を盃に浮かべた桃花酒を飲んでいたそうです。江戸時代に白酒が流行るまでは、桃の節句には桃花酒がつきものでした。
そこで、日本酒に桃の花を浮かべてみてはいかがでしょう。ワインなどに花びらを浮かべてみても素敵。風情を感じる大人のひとときにぴったりです。
白酒や甘酒、桃花酒で祝うひな祭り。皆さんも楽しんでみてはいかがでしょうか。
【ひな人形関連記事】
- 雛人形の飾り方 ーお雛様の並べ方とカップルの位置関係・深層心理ー
- 雛人形の由来と飾る時期~お雛様を飾る日はいつからいつまで?
- ひなまつり・桃の節句の由来・起源
- ひな人形はどう処分すればいいの?
- お雛様早く片付けないと婚期が遅れる?
- 魅惑のご当地ひな祭りイベント5選
【ひな祭り行事食 関連記事】