オリジナルハイボール物語のはじまり
日本一長いアーケード街、天神橋筋商店街 |
主なしとて春を忘るな
むかしむかし。平安の都から九州太宰府へ左遷となった菅原道真は、赴く前にこう詠んだ。庭の梅は道真を慕い太宰府まで飛んで根づき、飛び梅伝説が生まれた。21世紀のいま、大阪・天神橋筋商店街にその梅の香が降り注ぎ、ハイボール物語がはじまった。
2009年7月末、大阪で何やら天角ハイボールなる、オリジナル角ハイボールがえらく話題を呼んでいると耳にする。しかも大阪天満宮の参道に発展した日本一長いアーケード街を持つ天神橋筋商店街の大キャンペーンらしい。この商店街、2.6キロにもおよぶとも聞いた。
オリジナルは、角に南高梅のリキュール、そしてソーダで天角ハイボール。「なんじゃ、そりゃ。ついに梅まで入り込んできたか」と、驚いてしまったわたしは「とにかく、行かねばならぬ」と8月にのこのこ出かけて行った。
ただこのとき、何故に梅なのか、天満宮・梅・ハイボールで三題噺が成り立つストーリー性にあふれたキャンペーンであることなど知る由もなかった。
ハイボールで商店街活性化
天角ハイボールの懸垂幕があっちゃこっちゃにある |
それとともに、ここまでやるか、と笑いが込み上げ、ウイスキーが商店街の活性化、町おこしに役立っていると思うとなんだか胸が躍ってくるのだった。なんと200もの飲食店が天角ハイボールキャンペーンに参加しているという。
実は危惧がある。ウイスキーハイボールが人気を呼ぶのはいいが、酎ハイ的な広がりが強くならないで欲しいとの思い。ウイスキー飲みの勝手な言い分だが、ウイスキーの旨味を知るにはできるだけシンプルなほうがいい。
でも居酒屋はもちろん、寿司店、鉄板焼き店、中華や地中海料理店、レストランバーなどさまざまな業態で角ハイボールが、ウイスキーが飲まれていると知ると、天晴(あっぱれ)というしかない。
一軒の居酒屋に入る。6時だというのに老若男女がハイボールのジョッキを手にしている。人気だ。早速、天角ハイボール(350円)を頼む。そこでわたしは友人ふたりに「ところで、なんで梅なんだ」と聞いた。
次頁では天満宮・梅・ハイボールの三題噺を述べる。
(次頁へつづく)