サンディ・ヒスロップ氏の傑作
ガウディ氏、ヒックス氏の遺産を継承しながら21年という新しい香味を創造したサンディ・ヒスロップ氏 |
ついこの間、ウイスキーは飲みたいがシングルモルトを欲していない夜があった。円熟味のあるブレンデッドが恋しくなり、バーで響21年とバランタイン21年を堪能したのだが、あらためて「なんてバランスのいい、純粋で一途な味わいなんだろう」と実感した。
バーテンダーに聞くと、「素晴らしいウイスキーなのに、もうひとつ認知度が低い」と言う。バーでシングルモルトの図式がいまや主流だから、高級ブレンデッドは分が悪いのは仕方ない。ならば紹介しなければ、と使命感に駆られた。
バランタイン21年は現マスターブレンダー、サンディ・ヒスロップ氏のブレンドが生んだ傑作だとわたしは思っている。
ヒスロップ氏は、"The Nose"と呼ばれた前マスターブレンダー、ロバート・ヒックス氏(2005年退任)の下で約20年間働き、技と価値観を受け継いだ。そのヒックス氏の師匠であったジャック・ガウディ氏がまた凄い人物で、伝説的なブレンダーだったが、ヒスロップ氏は若かりし頃にガウディ氏の薫陶も受けている。極めて美しい匠の伝承の姿がバランタインにはある。
ナッティ、クリーミーな香味
バランタイン21年/700ml/43度/¥18,000 |
それはバランタイン17年とも30年とも異なる感覚だ。馴染みのある17年にもナッテイ、クリーミーは潜んでいるが、17年はフルーティー、スパイシーの印象が圧倒的だ。またそれが持ち味であり、多くのファンをつかんでいる要因でもある。
ではバランタイン21年は17年とは異なるどんな酔いをもたらしてくれるのか。次ページで香味から受ける酔い心地を述べよう。
(次頁へつづく)