口中に響く、四重奏
モモ肉のタタキは、ポン酢のジュレとともにいただく。ほどよい酸味が香ばしさと素敵にからまる。また野菜のトリュフオイル和えが添えてあり、これをタタキにからめて食べると味わいは一変し、野の小道を散歩している感覚。そんでもってハイボールをグビッ。タタキの滋味、ポン酢のジュレ、トリュフオイル、ウイスキー。軽やかながら繊細なタッチの四重奏が口中に響きわたる。上/皮面の香ばしさと肉の滋味がたまらない、モモ肉のタタキ。下/うっすらと焦げ目のついた西京焼。山崎12年の樽香とハーモニーを奏でる。 |
山崎12年のハイボールはステンレス製のタンブラーで登場する。このキーンと冷えた爽快感が口中に浸潤すると、また新鮮な心地となり、食の欲という贅沢な心持ちが喚起されるのだ。
おまかせの次の品はなんだ、と期待感はどんどん膨らんでいく。キターッ、西京焼だ。心の中で大声で叫びながら、顔には大人の穏やかな笑顔を湛えて、「ほう」っと柔らかに口から発す。
西京焼とシングルモルト
実は西京焼とシングルモルト山崎12年は相性が抜群にいい。私は鰆(さわら)の西京焼で山崎を飲むのが大好きだ。西京味噌は米麹をふんだんに使い、京都の名水で仕込まれる。うっすらと焦げ目のついた西京味噌の香ばしい風味は、京都郊外、山崎の名水から誕生した山崎12年の甘く華やかな香り、しっかりとした樽香と美しいハーモニーを奏でる。
鶏モモ肉の西京焼も、期待以上のハーモニー。これ以上の説明はいらない。「中山さん、おいしいよ。最高ですよ」と自然に口からこぼれていた。
他にもいろいろあるんだな。鶏の内モモ肉の竜田揚げってのは、なんと醤油と山崎12年を合わせたタレに漬け込んだもの。山椒と胡椒が効いたスパイシーな手羽先。これらはウイスキーとよく合うんだ。手羽先は軽快でスモーキーな白州12年のハイボールと合わせるといっそうおいしいのではなかろうか。
いやいや語り過ぎてしまった。おまかせコースは6,000円~だが、ささみ、皮といった串焼きは300円~ある。
まあ、皆さん。とにかく行け。中山氏の匠の技で味わいを深めた名古屋コーチンとは。さあ、食べてみなさい。
ガイドサイトINDEX『ウイスキーがおいしい飲食店』もご一読いただきたい。
東京都港区西麻布2-25-24 NISHIAZABU FTビル2F
tel.03-5778-3626
19:00~3:00(L.O.2:30) 月休