ハイランドパーク1967は素晴らしい

このシリーズの前回『世界の名ブレンダー、山崎に集まる』では、ISCの審査員たちのジャパニーズウイスキー評や山崎蒸溜所見学の感想といったものを述べた。今回は昨年12月5日のイベントでISCの審査員たちが披露した秘蔵モルトの中から、私が気に入ったものをふたつほど紹介しよう。
原酒
昨年12月5日のイベントでISCの審査員たちが披露した秘蔵モルト。

まずひとつ。これはISCウイスキー部門審査委員長でエドリントン・マスターブレンダーのジョン・ラムゼイ氏が披露した一品。ジョン・ラムゼイ氏はエドリントンというよりは、ブレンデッドウイスキーの逸品、フェイマスグラウスのマスターブレンダーといったほうがわかりやすいかもしれない。

その一品とはハイランドパーク1967。つまりハイランドパークの40年もの。もちろんまだ製品化されておらず、発売は今年の末、12月頃になるらしい。
私の記憶に間違いがなければ、12月5日にテイスティングした原酒をスパニッシュオークのシェリー樽で数ヵ月後熟した後に製品化されるはずだ。でも高いんだろうな。数十万円の数の字がいくつになるだろうか。

これは旨かった。ほんとうに旨かった。香りはとてもスパイシーで、シナモンやナツメグのような感覚が潜んでいる。味わいはスモーキーフレーバーが立ち過ぎず、どちらかというと柑橘系の甘さが印象に残る。ほどよい甘さで、またその余韻が長くつづく。
非常によいつくり込み、よい熟成をした酒であることをフィニッシュの長さの中で語りかけてくる。
とてもとても素晴らしいのだが、製品化されてもちょっと手が出ない。これは誰かにごちそうしてもらうしかない。お金がたくさんある人は、今年の末を愉しみにしておいていいよ。
 

20年ものミズナラ原酒もいい

ふたつ目は、サントリーの輿水精一チーフブレンダーが披露したミズナラ樽熟成のモルト原酒で1986年に仕込んだもの。20年ものである。
これもフィニッシュがすこぶるいいのだ。甘い果実香とともにミズナラ樽特有の伽羅、白檀、沈香といった香りの余韻が長くつづく。ほんとうに独特のウッディネスで、かすかなスモーキーさがまたいい。

ただこのミズナラ樽熟成のモルト原酒がブレンドにどう貢献しているのかはほとんど知られていない。実は今回の記事の本題は2ページ目にある。ミズナラの原酒はとはどういうものか、ISCの審査員たちも認めた香味とはどういうものか教えよう。(次ページへつづく)