『アクアヴィーテ』500ml¥1,575。225ml¥735 |
名は『アクアヴィーテ』。サントリーのピュアモルトウイスキーである。価格はレギュラーボトルが500ml、¥1,575。ハンディボトルが225ml、¥735だ。
たまたま私は発売前に試飲する機会に恵まれたのだが、なかなかこれが旨いのだ。あくまでウイスキーとして上質だから紹介する。
『アクアヴィーテ』は世界で初めて“健康”を前面に打ち出したウイスキーといえる。けれど正直言って私はそんなことはどうでもいい。健康を気遣って酒を飲んだことはない。香味が自分の好みに合うかどうか、上質であるかどうかが問題なのだ。
ただ健康を謳っていると書いてしまったからには気になる読者もいることだろうから、一応しっかりと説明しておく。近頃は身体を気遣い焼酎を飲んでいるといった年配の方々が多くなっているらしいが、同じ蒸溜酒のウイスキーにどうして目を向けないのかと思う。
もちろんアルコール度数はウイスキーのほうが高いということはある。でもね、樽熟成という特別な工程がウイスキーにはある。その熟成の神秘が深い香味、そして人にやさしい成分を生み出していることを知って欲しい。焼酎をはじめとしたホワイトスピリッツが持ち得ないよさがあるんだから。
ポリフェノールたっぷりの一瓶
『アクアヴィーテ』の500mlボトルのラベルには、“樽ポリフェノール200mg”と明記されている。(ハンディボトルは90mg)ポリフェノールは赤ワインやお茶などに含まれ注目されている。ご存知の方もいるだろうが、ウイスキーやブランデーといった樽で長期熟成させる酒にもそれはある。樽由来の強い抗酸化力を持つポリフェノールが多く含まれているのだ。
『アクアヴィーテ』の200mgという量だが、これは同クラスの価格帯のウイスキーの4倍ということらしい。
シェリー樽や焦がしたホワイトオーク材の新樽で熟成したモルト原酒にはとくに多くのポリフェノールが含まれている。これらの原酒を選りすぐってヴァッティング(混和)することで『アクアヴィーテ』は誕生し、この量を実現したのだ。
これはある意味凄いことで、良質の樽をたくさん保有し、しかもシェリー樽のスパニッシュオークをはじめアメリカンオーク、バーボン、そしてミズナラといった豊富な樽種を揃えているから可能になる。おそらく世界のウイスキーメーカーで、こういう製品開発をガツンとやれるのはサントリーだけだろう。
そしてまたブレンダー陣の優秀さをあらためて認識させられる。ポリフェノールに配慮しながら、旨いといえる香味を生み出すのだからその感性と技術は凄いと断言できる。では次にこの『アクアヴィーテ』の香味と、どんなシーンで飲めばよいかを私なりに語ってみる。(次頁へつづく)