そう、土曜日に行きなさいってこと。お買い物が終わって、バーの幕開けの早い時間に行ったり、食事でもして、その後に行ったりすればいい。お金があるっていうなら、食前、食後の2回バーに行ったっていいのだ。
土曜日のバーっていうのは客が少ない。スーツにネクタイの人たちはほとんどいない。
バーテンダーがまずリラックスしている。日曜日が休みという店がほとんどだから、休日前夜はどこか肩の力が抜けていていい。そして人気店の平日は、21時から24時ぐらいまでの間はカクテル・マシーンのように戦わなければならない。だが土曜日はその大きなヤマとなる時間帯がない。
「土曜日が最もキチンとしたサービスができる」というバーテンダーは多い。平日の多忙な時間帯、せっかく来店してくれた客にゆっくり話しかけることもできず、申し訳ない思いをすることがあると彼らは言う。ひとりひとりの客にじっくりと丁寧なサービスができてこそバーテンダーの心は満たされる。
銀座デビューは土曜日
よく銀座のバーは敷居が高い、という人がいるが、そんな人は銀座デビューを土曜日にしてみるといい。敷居なんぞ高くないことがわかる。銀座でお買い物をした夕刻、フラリと立ち寄ってみればいい。きっと愉しい時間を過ごせる。私は夕刻、バカボンパパのようにタリラリランとバーに行き、ウイスキーをゆっくり、ゆっくりと飲むのが好きだ。土曜日のいつもとは異なる空気感の中で、これでいいのだ、と頬を緩める。
ただし、この土曜日のすすめは、地方に行くと当てはまらない。地方都市で月曜が休みというバーがあるが、これは土、日、地元の人たちがたくさん飲みに来ると考えていい。
東京だってそうでしょう。私鉄沿線の駅近くのバーって、土曜日の夜かなり繁盛している。都心のバーと逆転するのだ。
前回の『グラスを愉しんでいますか』もご覧いただきたい。