左/ヴィンテージモルト1986<山崎蒸溜所>56度、700ml、¥17,850(税込)右/ヴィンテージモルト1993<白州蒸溜所>56度、700ml、¥6,300(税込) |
1986年山崎で蒸溜、山崎の貯蔵庫で熟成。2年間スパニッシュオーク、つまりシェリー樽に寝かせた後にホワイトオークに詰め替えて16年という変わり種だ。とても興味深い香味といえる。
ドライでスパイシーな感覚の中にシェリーの風味がしっかりと息づいている。これがいい感じなのだ。私は「ヘヘェーッ」とニヤケてしまった。余韻はほどほどですっきりしている。
ちなみに1986という年だが、この頃ってボディコンが流行ってたらしいよ。
もうひとつは私の勝手な思い入れ。深く熟成したものもいいが、若くてカツンとくる香味も大好きなのだ。
1993<白州蒸溜所>がそれ。¥6,300(税込)。熟成年数は10年とちょっと。
白州で1993年蒸留、貯蔵庫は八ヶ岳エージングセラー。樽はホワイトオークのホッグスヘッド。ドライでやや柑橘系の味わい。香りはスパイシー。ハーブや青草、松、はたまたレモンピールとさまざまに連想させる。白州、八ヶ岳という大自然で育まれたモルトの香味を満喫できる。
いつの間にか風化する思い出。
その点では1990<白州蒸溜所>、¥9,450(税込)もあるが、こちらはちょっとウッディで、バニラの甘みを感じさせる。1990が好みという人がいるだろうし、私のように93のほうがいいという人もいるだろう。当時の世相でいえば、90年の記憶はあまりないが、93年はJ リーグが開幕したし、皇太子殿下と雅子妃が結ばれている。バブルはたしか終わってしまっていたが、私はノーテンキにカリブ海の島々をまわっていた。トリニダード&トバゴという島国では取材と称して2週間も遊んだ。SOCA MUSICのライブハウスに毎夜出かけ、ラム酒漬けになっていた。
遠い昔のような気がするし、ほんとうに行ったのかと嘘のような気にもなってくる。たまには思い出さないと風化してしまう。
ただ私の場合、人間としてウイスキーのように素敵に熟成していないことに気づかされた。
ちなみにこのヴィンテージ・モルト、来年発売するかどうかは決まっていないらしい。買うならいまだと思うよ。だって来年になったらまた1年樽の中で熟成したものが登場することになり、同じヴィンテージのものでも香味は違うし、値段も上がっちゃう。つまり今年出た1981<白州蒸溜所>¥63,000(税込)が来年なくて、1981<山崎蒸溜所>なんてのがもっと高い値段で登場するかもしれないのだ。いわば実験的な製品といえる。
最後にヴィンテージ・モルト16製品すべて700ml、アルコール分56度であることを付け加えておく。
ご注文はサントリーオンラインショップの『ヴィンテージモルト』へ。
詳細はサントリーWHiSKY on the Webの『ヴィンテージモルト』へ。