ひとつお気に入りが見つかった。
さて今春発表されたのはコードNo.121認定、つまりSMWSが121番目に認定した蒸溜所、アラン蒸溜所のカスク3種。アラン蒸溜所はスコットランドの西岸に浮かぶ小さな島、アラン島にある。1995年に160年ぶりに復活した蒸溜所で、非常に新しい。そういう意味ではとても興味深く、これからどんな香味を生んでいくのか愉しみであり、真の評価はまだまだ先のこととも言える。ウイスキー・ファンとしてはしばらく見守りつづけたい、期待感のある蒸溜所だ。
アランの3種をここで詳しく説明するのは省くが、気に入ったといいうか、気になるカスクがひとつあった。
申し訳ないがSMWS式にコードナンバーで伝える。No.121.6の熟成年数5年というもの。度数58.8%。アラン蒸溜所で蒸溜後、船でキンタイア半島に運ばれ、樽詰めされてスプリングバンク蒸溜所の貯蔵庫で寝かされた原酒のひとつだ。
香りには潮気も感じられるがシェリー樽熟成だということがよく理解できる。味わいはフレッシュでありながらクリーミー、というかオイリーな甘みを感じた。後味はちょっとトースティ。直接的な表現をすれば焦げ臭に似たものがある。
トータルなイメージは活力に満ちたもので、5年という短さにしては深遠な期待感がある。かなり罪つくりなウイスキーともいえるだろう。これが5年、10年と熟成すればどんな容貌になるのか、と気になって仕方がないのだ。
サントリーの輿水チーフブレンダーと話しをする機会があり、気になったものはありますか、と聞いた。すると輿水氏もNo.121.6と答えられた。
ちと嬉しくなった。あらたまったテイスティングは苦手と先述したが、苦手でありながらとりあえず真面目にやっていてよかった。権威の方と同じ感想を持てるというのは、こういう場合嬉しい限りだ。これまで途中で飽きてしまっていい加減にやっつけて、他の人と意見を共有できなくて困ったことが何度もあったからだ。
気持ちが楽になり、後はソサエティのウイスキーをいっぱい飲んでしまった。いっぱい飲むということが私の基本であるのだから。
さて最後にSMWSのサイトはこちら。興味のある人、会員になりたい人はアクセスしていただきたい。また近々、おすすめINDEX“ウイスキーってなんだ『世界のウイスキー』”からもアクセスできるようにする。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。