1880年代、ヨーロッパのぶどう畑を襲った害虫フィロキセラの猛威によってぶどうが全滅し、ワインが異常なまでに高騰した。ワインに代わって飲まれはじめたのがウイスキーである。イングランドで飲まれるようになり、たちまち欧米諸国でも人気となり世界へ広がっていった。
こうしてブレンデッドウイスキーは認知されていき、いわゆるウイスキー裁判といわれるグレーンウイスキーに対する判決が下った時にはすでに世界で飲まれていたのだった。
さて『ダシ』の歴史の最後に、日本のウイスキーの話をしよう。
日本のウイスキーづくりは、1923年にサントリー山崎蒸溜所が建設されたことにはじまる。今年でちょうど80周年だ。
たしかにスコットランドや他の国と比べて歴史は浅い。でも日本人の嗜好に合う素晴らしいウイスキーをつくってきた。
シングルモルトでは山崎、白州、余市などがある。ブレンデッドはそれこそ名品がたくさんある。響、鶴といった高級品はかつて記事でも紹介した。最近では角やトリススクエアなども記事にした。でも忘れて欲しくないボトルがある。
オールド、リザーブ、スーパーニッカである。
これらのボトルは一時代を築いた名品である。いまスタンダードなバーでは見かけないが、日本の大衆向けブレンデッドを代表する味わいと言える。
いまでは忘れられているような気配があるが、これらを家庭でじっくりと味わってみて欲しい。水割りで食中酒として、食後にロックで、ゆっくりと愉しめばこれほどリラックスできる酒はない。
歴史は浅いと言ったが、品質の面での歴史はそう違わない。スコットランドも品質が高まったのは第二時世界大戦以降といえる。それまではかなりバラツキがあった。
技術革新によって品質が高まったのだが、これを均一化してしまったと嘆く声もある。だが文明というものは仕方がない。
いま技術の面では日本の方がリードしている部分もかなりある。さらなる香味の向上、新しい香味の登場を願って、ウイスキーを飲みつづけよう。
また第4回の『ウイスキーのダシの歴史1』もご参照いただきたい。また第6回『軽快でマイルドなカナディアン』もどうぞ。