この発明が予期せぬ新しいウイスキー、トウモロコシや小麦といった穀類を原料としたグレーンウイスキーを生み出すこととなる。
つまりそれまでの大麦からつくられるモルトウイスキーとはまったく別のタイプのウイスキーの製造を可能にしたのだ。
そしてアンドリュー・アッシャーのブレンデッドウイスキー開発へと導いたという訳だ。
連続式蒸溜機の発明は繊維業界でいえばナイロンの発明に匹敵する。これは味噌とダシ、モルトとグレーンの良好な関係を生んだといえる。
いまシングルモルトが人気を呼んでいるが、実のところ世界で飲まれている95%はブレンデッドウイスキーである。
中にはモルトがブームだからブレンデッド誕生以前に戻ったんじゃないか、という人がいるが、それは違う。
蒸溜の技術革新が進んだのは19世紀だし、原料の大麦の質もいまと同じとは考えにくいから、その昔のモルトウイスキーはもっと荒々しい香味だったのではなかろうか。
だからスコットランドの地酒に過ぎなかったのだ。
左/単式蒸溜器 右/連続式蒸溜機
前回の同シリーズ第3回『自宅に常備したいブレンデッド』もご参照いただきたい。また第5回『ウイスキーのダシの歴史2』もどうぞ。