和菓子/まんじゅう・餅菓子

「御菓子処 大黒屋」大森名物「のり大福」(2ページ目)

遊びに来た友人が、「これ、知ってる?」と取り出した袋には「のり大福」の文字。いそいそとほうじ茶を入れて頬張ると、甘い大福の後を追いかけるように、青海苔の豊かな香りが広がりました。

原 亜樹子

執筆者:原 亜樹子

和菓子ガイド

心に沁みる甘くて塩っぱい「みそ饅頭」

みそ饅頭
甘塩っぱい
「みそ饅頭」
郷愁を誘う優しい味わい。
私にのり大福を紹介してくれた友人の袋の中にはもう1つ「みそ饅頭」も入っていました。餡の入らない優しい甘さの饅頭で、少し硬めのみそ味の蒸しパン、と言った方がイメージに合っているかもしれません。

見た目にも味にも派手さはなく、とても素朴。どこか郷愁を誘う鄙びた味わいが、じんわりと心に沁みて、まだ見ぬお店の優しい温もりを感じました。

実際に訪ねたお店は、みそ饅頭から感じた温かさと、若き4代目池田さんの持つ明るさに満ちていました。「若い人にも、和菓子に敷居の高さを感じている人にも気軽に来て欲しい。」と話すとおり、親しみやすい雰囲気です。

素材を生かす菓子作り

どら焼き
「栗生どら」(栗の季節限定)
栗と砂糖だけで煉り上げた
栗餡の味は濃く豊か。
池田さんが何度も繰り返していた言葉は「和菓子の命である素材を活かす。手を抜かない。」。上生菓子で知られる千葉の和菓子店での修行時代には、早朝3時に出勤して仕込みをしていたという池田さん。「素材が大事。仕込みには妥協をしない。」という気概はその頃から変わらないもの。

例えば秋から冬にかけて店頭に並ぶ栗のお菓子に使う栗餡は、熊本県の農家から直送される甘味も香りも強い利平栗を、届いたその日に手作業でむき、丁寧に煉り上げたもの。栗の風味が際立っています。

どら焼き
のり大福と人気を2分する
という
「大納言どら焼き」
その栗餡とほんの少しの生クリームを挟んだどら焼き「栗生どら」は、季節限定の極上の逸品。栗の濃く豊かな香りは丁寧な手作業の賜物です。さらに皮にもこだわって、定番の「大納言どら焼き」に使うものよりもあっさりと焼き上げ、中に挟む濃厚な栗と生クリームとのバランスを取っています。

今は栗のお菓子は終わっていますが、秋、栗が美味しくなる頃に、お店を訪ねてみてください。


取材の最後に、その後近くの蕎麦屋で会う約束をしていた知人への手土産に、のり大福とみそ饅頭を包んでもらいました。私が大黒屋を訪れるきっかけとなった2つの和菓子。和菓子は滅多に口にしないという知人は、多分食べたことはないだろう。どんな顔をして食べるのだろう、とワクワクしながら店を後にしました。

<店データ>
「御菓子処 大黒屋」
所在地:東京都大田区大森本町2-31-9
電話番号:03-3761-6108
Fax番号:03-3761-6189
営業時間:9:00~19:00
定休日:水
京浜急行線平和島駅より徒歩約3分
地図:Yahoo!地図情報

◇予算一例:
「のり大福」1個120円
「大納言どらやき」1個200円
「麩まんじゅう」1個160円
「みそ饅頭」1個120円
「ゆず饅頭」1個130円
「すあま」1個130円
「甘辛 みたらし団子」1本90円
「黒ゴマ ごまだれ団子」1本100円
「栗生どら」1個300円(栗の季節限定)(以上税込)

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