和菓子/まんじゅう・餅菓子

「餅甚」(大森)「あべ川餅」で夏を楽しむ

静岡名物「安倍川餅」、実は東京・大森で300年続く老舗「餅甚」でも味わうことができます。この夏は旧東海道の旅人に思いを馳せて、「あべ川餅」を食べに行きませんか?

原 亜樹子

執筆者:原 亜樹子

和菓子ガイド

きな粉をまぶした「安倍川餅」は、静岡の安倍川近くの茶屋から広まった静岡名物ですが、実は東京・大森で300年続く老舗「餅甚」でも味わうことができます。この夏は旧東海道の旅人に思いを馳せて、「あべ川餅」を食べに行きませんか?

(目次)
P1 東京で味わう静岡名物「あべ川餅」
P2 井戸水で炊く鮮やかな「赤飯」と団子など

東京で味わう静岡名物

餅甚
享保年間から続く「餅甚」
現在は喫茶スペースはなく、
持ち帰りのみ
東京・大森の旧東海道沿いにある「餅甚」。東海道品川宿と川崎宿の中間、大森宿で約300年「あべ川餅」を看板に掲げてきた老舗です。

駿河(静岡)出身の初代、甚三郎が「駿河屋」として茶店を始め、8代目が「餅甚」に改め、現在は10代目の福本義一さんと11代目の息子さんが店を守っています。店には「あべ川餅」だけでなく赤飯やおこわ、団子や季節の生菓子が賑やかに並びます。

浅草海苔の網場が多くあった頃は、蜜をたっぷり付けて食べる餅がエネルギー源になるだけではなく、海苔がべったり「付く」ようにとの縁起かつぎもあり、網場で働く人たちから寄り合い用にと注文が来ることも多かったそうです。店の歴史は大森の歴史と共にあるようです。

蜜ときな粉で頂く独特の「あべ川餅」

あべ川餅
40年ほど前までは
客が持参する容器に
餅を詰めて売っていた
1口ほどに丸めた平たい餅に、きな粉と特製の赤糖の蜜を添えた「あべ川餅」。箱全体から手作りの温かさが伝わってくるようです。誰に渡しても喜ばれるので、いつも必ず自分の分と「誰かの分」をついつい買ってしまいます。

ところで、皆さんは「あべ川餅」と聞いてどんなものを想像されますか? 私の場合は餅にきな粉をかけたものか、静岡名物「安倍川餅」のように、砂糖入りのきな粉をかけたものと餡を乗せたもののセットが思い浮かびます。蜜をかけるという珍しい食べ方は「餅甚」で代々伝わっているもののようですが、由来までは伝わっていないそうです。

あべ川餅
特製の琥珀色の蜜を
たっぷりかけて
きな粉をふって
柔らかく搗かれた餅はしっかりとしたコシもあり、何もつけなくてもそのままでも十分美味しく頂けます。そこに琥珀色でコクのある赤糖の蜜と優しい風味のきな粉が絡むと、とろけるような美味しさです。

当初は真夏の土用にのみ販売していたというだけあって夏でも喉を通りやすく、適度な甘さに疲れが癒されます。客の要望で40年ほど前から通年作るようになったそうですが、1年を通してコシのある滑らかな餅を搗くのは簡単ではないそうです。もちろん搗き立てが一番ですが、搗き方を工夫した餅は柔らく伸びがあり、買った翌朝になっても固くはなりません。

次ページでは、井戸水で炊く鮮やかな「赤飯」と団子をご紹介します>>
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